今年2020年は日本においても高速大容量通信である5Gがスタートする。5Gの利点は何といっても低遅延にある。AIとIoTが結びつけられている現在、5Gの低遅延は様々な分野で遠隔操作への応用が可能だ。そうした分野の代表としてドローン分野がある。これによりドローン機体の普及のみでなくクラウドを介したAI制御システムの提供などサービスとしてのドローン市場の拡大も見込まれる。
2月20日、矢野経済研究所がドローンの世界市場に関する調査レポートを発表した。レポートによれば、2018年におけるドローンの世界市場規模は軍用需要と産業用機体、個人用機体、商用サービスを合わせた民生需要の合計で約1.6兆円と推計されている。
将来展望については、20年から25年における年平均成長率は8.3%で成長すると予測され、軍需と民需の内訳について見ると、軍需用が年平均成長率 4.1%に留まるのに対し、産業用と個人用を合わせた民需は11.7%と予測されている。
民需の中でもドローン機体を活用した商用サービスは15.5% と高い成長率が予測され、この分野が市場を牽引して行く見込みのようだ。レポートによれば前回の2016年調査時において最大のサービス分野になると予測された点検・検査分野が社会インフラ保全のための点検や災害時における状況把握などの需要により予測を大きく超える実績を出しているようである。
高い成長が予測されている商用サービス分野の中でも最も成長率が高いのは輸送・配送サービス分野で、「現状がほぼゼロであるが故の成長率であるが」との前置きはあるものの、20年から25年における年平均成長率29.7%と年30%近い急成長が予測されている。高い成長率を見込んだ背景としては「今後、主な先進国においてドローンを活用した輸送・配送サービスに対する許認可が進むとみられる」としている。
他方、測量・マッピング分野は比較的に低い成長が見込まれている。土木測量におけるドローン活用は既に行われており、今後も徐々に拡大傾向で推移して行くと見込まれ、特に高精度な測量や3Dマッピングではドローン活用が期待されるものの、その活用範囲は限定的と見込まれるためだ。とはいえ20年から25年の年平均成長率は10.7%と2桁の伸びが予測されている。
ドローン機体、関連サービスの進歩・普及で我々の生活は大きく変わって行くことは間違いない。(編集担当:久保田雄城)