新型コロナ肺炎のパンデミック(世界的流行)が続いている。日本も7日、非常事態宣言が発令され緊張状態にある。外出自粛要請、休業要請は膨大な経済的損失は生み出すものと予測される。日本では1月下旬に中国が団体海外旅行を禁止してからインバウンド関連の業種を中心に売上の激減など影響が出始めた。また中国の工場が停止した影響で深刻なマスク不足が起こるなどサプライチェーンの混乱によってコロナ不況の影響は徐々に広がりを見せてきた。
2月下旬、政府が新型コロナ対策の基本方針を決定してからイベントの自粛等、経済減速の影響は広範な産業へと波及していくことになる。3月に入り欧米豪・東南アジアでも感染症対策のロックダウンが始まりサプライチェーンの混乱による国内企業への影響はさらに拡大しているようだ。
東京商工リサーチは既に「新型コロナウイルス関連倒産状況」について定期的に調査結果を発表している。レポートによると、政府が緊急事態宣言を発令した4月7日現在、新型コロナ関連の倒産は20件、法的手続き準備中は25件発生しており、経営破たんの合計は45件に達している。
都道府県別には、東京都の6件が最多で、次いで北海道5件、兵庫県4件、大阪府と福岡県が各3件など既に25都道府県に広がっている模様だ。業種別には、やはりインバウンド関連の宿泊業が12件と最も多く、飲食業7件、食品製造業6件と続いている。インバウンド需要と消費者対象の中小零細企業が圧倒的に多いようだ。
さらに、インバウンドや消費者需要に直接該当するサービス業や小売業だけでなく、大学休校により教科書販売の減少した出版業、管材・住宅設備機器や陶磁器などの卸売業、製造業など幅広い業種で3月下旬より経営破たんが急増している。ゴム風船製造業では中国やタイの工場からの原材料の仕入れが困難となり事業継続ができなくなったケースも発生している。
今後、新型コロナの影響で世界的に事業所の休業が行われている中、サプライチェーンの混乱などで卸売業や製造業などインバウンドや消費者需要と関連しない業種や企業に悪影響は波及して行くものと予測される。先行き不透明の中、経営基盤の脆弱な中小・零細企業を中心に経営破たんが今後さらに増えることは間違いない。経済的損失を最低限に抑え、感染抑止政策を成功させる上でも十分な事業者救済策の実行が急務だ。(編集担当:久保田雄城)