新型コロナウイルス感染症対策で社会は大きく変わろうとしている。外出自粛や店舗の営業自粛、リモートワークによる在宅勤務の増加など人々の生活様式も大きく変わった。さらに外出自粛という環境の中で治安・犯罪の内容も大きく変わったようだ。
地域安全情報を配信しているガッコムが自社の運営する治安情報データを元に新型コロナウイルスによる不審者・犯罪への影響について取りまとめ、13日にこれを公表している。
レポートによれば、今年4月の詐欺の内容と昨年の状況とを比較すると昨年の新元号の時期には「元号変更に伴いキャッシュカードの変更が必要」等の関連詐欺が、オリンピックチケット発売の時期には「チケット当選を装った偽メール」等の関連詐欺が増加したのに対し、今年は新型コロナウイルス関連詐欺の報告が増えており詐欺全体の件数も増加している。
内容を見ると、政府から助成金、給食費を返還、電気代無料等の「助成金・給付金・還付金詐欺」が45.4%、マスクを無料送付、マスクの転売の儲け話等の手口があるなど「マスク関連詐欺」が28.5%、ウイルスが水道管に付着、ウイルスに効く洗剤、コロナの特効薬がある等の「悪徳商法詐欺」5.4%、親族を装って検査費用がない、仕事なくなった等の「オレコロナ詐欺」が3.8%などとなっている。
一方で「不審者」、「声かけ」、「子ども被害」など不審者関連の報告については大幅に減少しているようだ。外出自粛の影響でターゲットとなりやすい子どもや女性が外にほとんどいないことが要因と考えられる。また「ちかん」、「盗撮」などの性犯罪の報告件数も減少傾向である。これも外出自粛やソーシャルディスタンシングの影響と考えられる。他方、「のぞき」の報告件数は増加傾向で、こちらは外に人が少ないことが犯罪を誘発していると考えられる。
窃盗については「ひったくり」の報告件数が大幅に減少している一方で車上ねらいや万引きなどは減少しているものの他と比べ大きな減少とはなっていないようだ。これも外出自粛で外に人がいないことが影響していると思われる。
新型コロナの影響で社会のあり方が大きく変わっているが、犯罪者の行動も大きく変わっているようだ。レポートでは「飲食店がテイクアウト等で新たな営業方法を模索しているように、こうして不審者・犯罪の傾向も変わった新しい生活においては、新しい防犯のあり方についても模索していく必要がある」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)