昨年10月の消費税増税、台風被害、その後の気候変動の影響などにより日本の景気は減速傾向で推移してきた。今年2月下旬に新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が決定され、イベント等の自粛が要請されて以降、関連業種を中心にさらに減速傾向となったが、4月の緊急事態宣言の発令で大規模で全般的な不況に入ったと言える。
8日に帝国データバンクが「TDB景気動向調査(全国)2020年4月調査」の結果を公表している。これによれば、景気の良し悪しについて50を境に判断する景気DIの4月分は25.8となり前月3月の32.5と比較し比6.7ポイントも下落し、前月に続いて過去最大の下落幅を更新した。2月の38.7から見ると過去3カ月で16.1ポイントも減少したこととなる。
4月の国内景気は、新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発令されたため、ほとんどの産業で全般的に経済活動が大きく制約され、外出自粛や休業要請により市場機能の多くが制限されることになり国内のみならず海外需要も急速に冷え込んだ。
今後の動向についてARIMAモデルによる予測を見ると、1カ月後の5月の予測DIは21.8とさらに下降し、3カ月後の7月は20を切り18.3、6カ月後の10月は17.0、1年後の来年4月も19.0と20まで回復できない水準と予測されている。短くとも向こう1年は現況より苦しい状況が続く見込みだ。
業界・業種別に見ると、全10業界51業種中48業種が悪化となっており、特に「建設」7.6ポイント減、「製造」5.6ポイント減、「卸売」5.7ポイント減の3業界、業種別では「輸送用機械・器具製造」12.0ポイント減など14 業種で前月比の下落幅が過去最大となっている。さらに14業種の景気DIは過去最低となっている。
地域別では全10地域47都道府県で悪化し、うち24都府県で過去最低を更新した。「南関東」のDIは26.3で前月比7.8ポイントの減少。1都3県が過去最大の下落幅となり特に「東京」と「埼玉」の落ち込みが大きい。「近畿」は23.9で6.5ポイント減少、中でも娯楽関連が大きく悪化、特に「小売」は16.9とリーマンショック時を下回るレベルまで落ち込んだ。
今後の景気先行きは新型コロナの収束状況に左右されるが、不確実性下での停滞傾向が持続すると予測されている。(編集担当:久保田雄城)