不動産市場、投資家の75%が今後も積極的に投資。取得価格は「下落する」9割

2020年06月02日 05:21

画・不動産市場、投資家の75%が今後も積極的に投資。取得価格は「下落する」9割。

JLLが新型コロナの不動産市場への影響について投資家調査を実施。投資家の約75%が今後も積極的に不動産へ投資する考え

 J-REIT不動産価格指数みると住宅では2009年央から、オフィス、商業地では13年後半より価格指数は一貫して上昇基調にある。その背景には当然オリンピックがあるが、これに付随するインフラ整備、人手不足による人件費高騰、資材不足による価格高騰などが考えられる。オリンピックの開催は外国人投資家からも注目を集め、また16年からのマイナス金利によって一般投資家の不動産投資への参入といったことも挙げられよう。

 この再開発ブームをともなう不動産投資ブームはバブルではないかという指摘もあったが、オリンピックを契機としたインバウンド需要などへの波及も考慮すると必ずしもバブルではないという反論もあり、これまでのところ不動産相場は上昇傾向で推移している。しかし、新型コロナの影響でオリンピックの延期が決定するなど下落要因が出てきた。今後コロナの影響でオリンピックやインバウンド需要が蒸発した場合バブルがはじけるかも知れないが、投資家達の見通しはどのようなものであろうか。

 総合不動産サービスのJLLが4月下旬、国内外の投資家を対象に「新型コロナウイルスによる不動産市場への影響」について意識調査を実施、26日にそのレポートを公表している。

 レポートによれば、投資家の約75%が今後も積極的に不動産へ投資する考えだ。投資先を地域別に複数回答で見ると、東京都心5区が16.5%、東京23区が14.3%、首都圏全域が14.7%と約5割の投資家が首都圏への投資を第一と回答している。首都圏以外では福岡11.7%、大阪都心3区11.1%、名古屋圏が10.5%等の順で、四大都市圏を中心に地方都市への投資意欲も高いようだ。

 セクター別ではオフィスが全体の22.6%を占めトップ。賃貸住宅も全体の22.3%とオフィスと同程度の関心を集めている。注目すべきは物流が17%で商業施設の9.8%を上回っている。背景には、新型コロナの影響で生活必需品の需要が増加していることなどが考えられる。

 取得価格の水準については「5%以上下落する」と回答した投資家が約9割で、新型コロナの影響が価格の下落につながり一定の価格調整があると見込んでいる投資家が多く、「価格調整があれば新規投資を積極的に行う」との回答も67.2%存在する。

 新型コロナの影響下で、これまでのオリンピック需要を見込んだ動きとは異なった動きが見られそうだが、引き続き投資意欲は高いままだ。(編集担当:久保田雄城)