新型コロナウイルス感染症の第2波はどうやら収束に向かいそうだ。しかし、ウイルスが消えて無くなるわけでなく、第2波、第3波の到来が当然予測される。今回の一応の収束で人々の不安が消えるわけでは無い。
新型コロナの常態化が常識となった中で「新しい生活様式」という言葉も出てきた。産業の視点から言えば、新しい業態・業種、それを実現する新しい就業形態・就業構造が生まれてくる可能性があり、少なくない人々の労働市場での移動が生じるであろう。こうした状況下で人々の雇用・収入に関する不安も高まってくる。
日本生産性本部が5月22日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人々の意識に及ぼす影響に関するアンケート調査「第1回、働く人の意識調査」の結果を取りまとめ公表している。この調査は5月11日から13日に20歳以上の組織で働く就業者1100名を対象にインターネットを通じて行ったものである。
レポートによれば、労働時間・業務量の変化について聞いた結果、労働時間は43.2%、業務量は37.6%が「減少した」と回答している。経済活動の全般的自粛の中で労働時間・業務量が減少している者が少なくないようである。労働時間については業種による格差が大きく、宿泊業では100%が、飲食サービス業では89.2%で「減少」と回答している。
勤め先の業績や今後の自分自身の雇用・収入への不安について尋ねた結果では、65.3%が勤め先の業績へ不安を感じ、今後の「自分自身の雇用」については47.7%と半数近くが「不安」と回答しており、今後の「収入」については61.8%と6割超が「不安」と答えている。
今後の雇用への不安感についても業種による格差は大きく、宿泊業で85.7%、飲食サービス業が75.7%、医療・福祉65.0%、生活関連サービス業63.0%となっている。外出自粛の中で新しい生活様式が唱えられ消費行動の変容が当然に予測されることから、消費者に近い業種・職種で不安を感じる者が多いようだ。
世代別に見ると、「不安」と答えた者は20代が68.5%、約7割と最多で、「かなり不安を感じる」と答えた者の割合が最多なのは30代で35.2%となっている。やはりライフプランについて考え長期的な視野を持つ若年層ほど不安感が強いようだ。
「新しい生活様式」の中で雇用の流動化が生じることは間違いない。就労者の生活の安定を守る上でも政府や企業による適切な対応が望まれる。(編集担当:久保田雄城)