住宅メーカー各社から相次いで発表されたスマートハウス。今年に入ってからはスマートシティ・スマートタウン等と呼ばれる街区も全国に広がり、現在では自動車業界や家電メーカーなども巻き込んだ大きな潮流となっている。しかしその陰で、2012年に入ってもう一つ加速したものがある。それがCO2排出削減への取り組みである。
住宅業界におけるCO2削減対策加速に大きく寄与したのが、一般財団法人 建設環境・省エネルギー機構による「LCCM住宅認定」である。LCCMとはライフサイクルカーボンマイナスの略で、住宅の建設時・運用時・廃棄時において可能な限り省CO2に取り組み、さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いて発電をすることなどにより、住宅における生涯でのCO2収支をマイナスにするもの。「LCCM住宅認定」とは、その開発と普及促進に寄与することを目的に、建築物総合環境性能評価システム「CASBEE(キャスビー)」の評価・認証の枠組みに基づき、昨年12月より開始されたものである。認定基準は「CASBEE」戸建評価認証制度において環境効率ランクがS又はAであり、かつ、ライフサイクルCO2ランクが5つ星若しくは4つ星であるものとなっている。なお、5つ星とは、CO2排出率が0%以下であり、大規模な太陽光発電の導入等により達成できるレベル、4つ星とは、同50%以下のもので、建物や設備の省エネ・高耐久等の積極的な取り組み、一般的規模の太陽光発電を設置するレベルである。
LCCM住宅認定の第1号は、大阪ガスと積水ハウスが共同で開発・施工したスマートエネルギーハウスで、今年1月に認定。また3月には、新産グループが提案・建築したハイブリッドエコハウスが全国初の5つ星評価を受けている。その後も認定住宅は増え、現在では16件が認定を受けている。
近時では、パナホームが兵庫県芦屋市に展開する大型分譲地「パナホームスマートシティ潮芦屋」のモデルハウスが、「CASBEE」戸建評価認証制度の環境効率でSランク、ライフサイクルCO2ランクが4つ星でLCCM住宅認定を取得。ちなみに認定を受けたモデルハウスには、パナソニック製の太陽光発電システム(4.89kw)や創畜連携システム、HEMS、エコナビ搭載換気システム、LED照明(全灯)、EV充電コンセントなどが装備されている。
様々なメーカーからスマートハウスが販売されている。しかし、いずれも太陽光発電システムやHEMS、蓄電池などが搭載されており、一般の消費者にとってその差異は分かりにくくなっているのが現状であろう。一方で、CO2排出量の低減率が高い住宅は、より高効率な省エネを実現している。その為、今後住宅を選択する際には、搭載された設備だけでなく、CO2排出量にも注目してみるのが有効かもしれない。