2月下旬、政府が新型コロナ感染症対策の基本方針を発表し日本社会が自粛ムードに変った3月以降、特に緊急事態宣言が発令された4月から国民の消費態度は大きく低下した。先月25日に緊急事態宣言が解除されてから徐々に消費態度も正常化していると予想できるものの未だ人々の警戒心、自粛ムードは強いようだ。しかし緊急事態宣言解除される以前の4月下旬の時点で消費態度低下の動きは底を打ったようである。
1日、ジェーシービーとナウキャストが自社のクレジットカードの取引データを活用して現金も含む消費動向を捉えた国内消費動向指数「JCB消費NOW」を公表している。
レポートによれば、新型コロナウイルスの影響による外出自粛で大きく落ち込みを見せている外食、交通、娯楽、宿泊、旅行などのレジャー消費は5月前半に下げ幅の縮小をみせる一方、外出自粛で好調だったスーパーやコンテンツ配信の伸びは減速しており、4月から5月にかけて新型コロナの影響による消費の動きは一旦落ち着きを見せてきているようだ。
総合消費および外食、旅行、交通、娯楽については、新型コロナの影響で全ての業種で3月前半より低下傾向であったが4月後半で底を打ち5月前半は減少幅を縮めほぼ横ばいとなっている。逆に外出自粛の影響で消費が増加していたスーパー、コンテンツ配信は4月後半が天井となり、5月前半は減速し横ばい傾向に変化している。
スーパーの1人当たりの消費金額は緊急事態宣言が発令された4月前半以降は増加傾向であったが4月後半にはピークに達し5月前半には増加幅は縮小し横ばい傾向に変化している。一方、EC、酒屋、電気・ガス・熱供給・水道業は、3月より増加傾向で、5月前半でも上昇傾向を維持しており、外出自粛による一貫した消費増の動きがうかがえる。
ECについては2月後半から上昇しはじめ4月下旬から大きく伸び、以降増加傾向を維持している。電気・ガス・熱供給・水道業については気温の上昇した4月に一度僅かに下降したもののその後緩やかな上昇傾向となっており外出自粛の影響が見て取れる。コンテンツ配信の消費者人数の変化については3月後半から伸び始め4月後半にピークとなり5月上旬には若干低下している。
全体としては、外食、旅行、交通、娯楽については下げ止まりを維持し、スーパーは緩やかに低下しながらも高止まり、ECは上昇傾向を維持し続けているという状況だ。緊急事態宣言解除後も新型コロナを意識した一定の消費動向の形が出来てきているようだ。(編集担当:久保田雄城)