政府に批判的な学者排除目的で法解釈変更か

2020年10月04日 09:19

 安保法制や共謀罪などに学術的立場から批判した学者ら6人を、菅義偉総理は日本学術会議総会承認を経て推薦された推薦者であるのも関わらず、総理権限を逸脱し、任命しなかった問題。政府が国民の納得のいく説明を明確に行わなければならない。このままの逃げ得を決して許してはならない。「学問の自由」侵害にとどまらない重大問題を抱えている。

 今回、政府に批判的な学者排除目的で日本学術会議法の法解釈を、安倍内閣のように政府に都合の良いように変更したとすれば「法の安定性」を大きく損なうもので、法治国家としての基盤、民主主義基盤をも棄損する問題をはらむ。

 立憲民主党の蓮舫参院議員は2日「菅総理が勝手に人選できるものではない」と非難し「(総理の)勘違いも甚だしい。政権に批判的な学者、官僚を排除。こんな内閣はおかしいと声をあげてください」(弊社既報)とツイッターで喚起しているが「任命しない説明をしない」あるいは任命しなかった理由開示が不都合なために「できない?」内閣が許されてはならない。

 内閣府は日本学術会議からの推薦をそのまま総理官邸にあげたことは毎日新聞が複数の政府関係者からの取材で判明したと3日報じた。法解釈を歪め、認定しなかったのが官邸であることは明らか。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は今回の問題について、どういった行政手続きで当該候補を除外したのかの説明、決裁文書があるなら文書の提出、菅総理や加藤勝信官房長官がどのように指示したのか、あるいは命令、指示があったのか、意見を述べているのかを明確にする必要があるとし「野党ヒアリングで明確な回答が政府側からなければ、衆参予算委員会での集中審議の開催、国会対策委員会と相談し実質的な回答を得られる場面を作っていく」と語った。

 福山幹事長は「学者の皆さんや市民の皆さんとともにおかしいと声をあげないと、学問の自由が奪われ、学問の自由に対する萎縮行為があちこちに広がり、この国の発展を阻害する行為になる」と菅内閣の行為を強く非難。

 今回の問題は安倍内閣の下での憲法、民主主義の根幹にかかわる集団的自衛権の行使を一部で容認した安保法制や共謀罪の制定、検察庁法改正案に同類の重大な問題を含んでいることを国民が認識することが求められている。(編集担当:森高龍二)