海洋放出決定前に公聴会や代替案公開議論を要請

2020年10月22日 06:29

 国際環境NGOグリーンピース・ジャパンや福島の住民らが20日、梶山弘志経済産業大臣に対し、福島第一原発事故で発生し続けている放射性物質を含む汚染水の「処理汚染水」について、海洋放出しないよう強く要請した。

また(1)幅広い立場の市民が意見を言うことができる『公聴会』を開催すること(2)海洋放出以外の代替案についても提案者が公開の場で説明し、開かれた議論が行われること(3)こういった意見や議論を反映した上で意思決定することを求めた。

 要請文では「タンクにためられている処理汚染水の7割にはトリチウムのみならず、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質が、総量として基準を上回って残留している」としたうえで「東電は『2次処理する』と言っているが、その総量はいまだ公表していない」と指摘。

 また「海に流す以外の代替案として、技術者や研究者のグループから『大型タンクによる長期安定保管』や『モルタル固化処分』といった提案がされたが、これらについて十分に検討されないままになっている」としている。

 また「私たちは次世代に引き継ぐべき環境に強い関心をもつ、現世代を生きる一人の人間としての立場から、汚染水を海洋に放出することに反対する。放射性物質は集中管理をすることが原則。拡散させてはならない」と訴えている。

 ふくしま復興共同センターも同日、経済産業大臣あてに海洋放出に反対する旨を申し入れた。同席した日本共産党の原発・気候変動・エネルギー対策キャップの笠井亮(あきら)衆院議員はツイッターで、経産省が早急に結論を出したいと海洋放出決定を急ぐ姿勢が透けて見えることから怒りマークをつけて「国・東電の事故への反省と責任が根本的に問われている」と民意に耳を傾け、慎重な対応をするよう発信した。(編集担当:森高龍二)