略式起訴でも裁判官判断で裁判に道 元特捜検事

2020年12月06日 09:26

 前田恒彦元特捜部検事は桜を見る会前夜祭の費用を安倍晋三前総理側が補填していた問題で東京地検特捜部が「安倍晋三後援会」代表(安倍氏の公設第1秘書)ら3人を政治資金規正法違反(不記載)で正式裁判が開かれない「略式起訴」の方向で検討に入った、とする朝日新聞電子版記事に「(略式起訴になった場合)事件に至った経緯や状況、関係者の具体的な供述内容などは明らかになりません」と指摘したうえで「裁判官は事件の内容や社会的影響などから略式手続が相当でないと考えた場合、正式手続によって公開の法廷で裁判を行うこともできます」と裁判の道が完全に途絶えるわけではない、と解説コメントを発信した。

 前田氏は「検察官が簡易裁判所に略式起訴した場合、公開の法廷は開かれず、裁判官も書面や記録のやりとりだけで判断し、罰金額を決めて略式命令を言い渡すのが基本」だが「略式不相当決定」と判断すれば、裁判になる、と説明。

 前田氏は「社員が過労自殺した電通の違法残業事件や大阪府警の警察官による取調べ中の被疑者に対する脅迫事件などがそれにあたります」と具体例も紹介している。

 今回の問題、行政府の長だった前総理を巡る問題だけに、多くの国民は「事件に至った経緯」「状況」「関係者の具体的供述」にこそ、重要な関心を持って注視している。前田氏がコメントに「裁判官が略式手続を相当と考えるか否かが注目されます」と書き込んでいるように、誰もが注目することになりそう。(編集担当:森高龍二)