新型コロナの感染者数は冬に向かって増加傾向で推移している。冬の流行は、あらかじめ懸念されていたことであるが、再び緊急事態宣言の発令という事態も想定されうる状態だ。宣言が発令されれば多くの事業所で休業が余儀なくされる。しかも、現況では4月の宣言以来、休業状態のままの労働者も多数存在し、野村総研が10月下旬に行った調査によれば、休業労働者の半数が就業再開を希望しており、非正規労働者の7割が無給という状態だ。このまま緊急事態宣言となれば生活困窮者がさらに増大することは間違いない状況と言える。
18日に野村総合研究所が、10月20~21日に新型コロナ関連休業の状態にある正規・非正規労働者2163名を対象にして実施した「コロナによる休業者の実態と今後の意向に関する調査」の集計結果レポートを公表している。
レポートによれば、正社員では「休業手当を受け取れるならば、現在のように休業を続けられる方がよい」と回答した者の割合は男性で54.7%、女性で57.1%と半数を超えているものの、一方で「実際に仕事をして賃金を受け取れる方がよい」と回答した者も男性45.3%、女性42.9%と4割を超え半数近くに達している。レポートでは、この結果に関し「休業の長期化や将来不安なども背景に」あると見ている。
また、「新しい仕事を探したいと思っている」と回答した転職希望者は男性で52.8%、女性で49.2%、さらに「実際に新しい仕事を探している」との回答は男性で20.1%、女性で13.8%存在する。ウイズ・コロナが長期化する見込みの中で需要が激減した業種から人手不足の深刻な業界へ転職することに前向きな者も少なくない。
一方、休業中のパート・アルバイト女性の場合、休業手当を受け取っていない者の割合は69.1%と7割に達している。休業手当の受け取り有無を世帯年収別に見ると、世帯年収が低い者ほど休業手当を受け取っていない割合が高くなっている。非正規労働者の解雇・雇止めの増加傾向が問題視されているが、解雇されないまでも休業状態にもかかわらず休業手当を給付されていない非正規労働者が生活困窮に直面している実態が想像される調査結果だ。
レポートでは「本来受け取り権利があるにもかかわらず、休業手当を受け取れず、生活が困窮している層に対し、休業手当を含む経済的支援を迅速かつ確実に届けることも喫緊の課題だ」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)