新型コロナウイルス感染症の流行で様々な経済活動が停滞している。飲食業や観光業がその代表だが、文化芸術活動も感染症の影響で活動の休止を余儀なくされた分野の一つだ。しかし、流行の長期化の中で感染防止を行った上で活動再開を試みている者も増えている。文化芸術活動の舞台となる劇場やホールも活動再開にむけた動きが活発になってきているが、感染予防対策については施設によって整備状況にバラツキがあるようだ。
サントリーパブリシティサービスが全国の文化施設1140カ所に対し「コロナ禍における劇場・ホール実態調査」を9月に実施、その集計結果を8日に公表している。これによれば、すでに再開している46%も含め、71%の施設で自主事業の年内再開にむけた準備を始めているようだ。
「コロナ対策で参考にしたものは何か」と複数回答で聞いた結果では、339施設が「公文協のガイドライン」、340施設が「自治体ガイドライン」を参考にしたと回答している。回答文化施設のほぼ全施設が公文協もしくは自治体の両方もしくはどちらかのガイドラインを参考にしているようだ。また、「近隣類似施設での取り組み」と答えた者も242施設あり、地域の施設同士の連携が進んでいる状況も伺える。
「参考にしたガイドラインの具体的な過不足項目は何か」と尋ねた結果では、「『定期的な』や『十分な』などの表記が多いため、どうしたらよいかわからない」、「東京を基準に作成してあり、市内で感染者の発生していない地域では違和感がある」といった回答が目立ち、各施設がガイドラインの具体性や地域差に違和感を持っているようだ。
「独自の対策ガイドラインを作成したか」という問いには、84%が「作成した」「一部作成した」と回答、各施設に合わせた具体的なガイドラインを多くの施設が設けているようだが、16%の施設では作成されていない。
「従業員用の対策マニュアルは作成したか」に対しては、35%が「作成しなかった」と回答し、その理由として、「必要性を感じなかった」が約80施設と最も多くなっている。この他、「必要性はわかっているが、どう作ってよいかわからない」、「作る人手が足りない」などリソースの問題などが指摘され、施設により取り組む意識にもバラつきが見られる。早急な対策の充実が活動再開・継続のための優先課題であるようだ。(編集担当:久保田雄城)