介護事業者の廃業が急増。コロナ支援効果が薄れ、息切れの兆し

2020年12月25日 07:03

画・介護事業者の廃業が急増。コロナ支援効果が薄れ、息切れの兆し。

東京リサーチが2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況を調査。新型コロナの影響や人手不足などで先行き不透明、廃業を決断するケースが急増

 近年、老人福祉・介護事業者の倒産は小規模な訪問介護事業者やデイサービスなどの通所・短期入所介護事業の倒産が増加し、年間100件以上と高い水準で推移してきた。倒産増加の背景には、人手不足や生産性向上、介護職員の育成などで多くの課題が山積していることなどがあるが、今年に入り新型コロナウイルス感染症の流行がこれに追い打ちをかけている状況だ。

 3日、東京商工リサーチが「2020年・老人福祉・介護事業の倒産状況」について調査レポートを公表しているが、これによれば今年1月から12月2日までの「老人福祉・介護事業」の倒産は112件に達し、介護保険法が施行された00年以降、これまで最多だった17年と19年の111件を既に上回っている。

事業形態別には、ヘルパー不足が続く「訪問介護事業」が52件で全体の46.4%と半数近くを占め、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が36件、同32.1%と増加した。従業員規模別では従業員5人未満が75件で、全体の66.9%、7割近くを占め、負債規模では1億円未満が90件、同80.3%と小・零細事業者が中心となっている。

 今年に入ってからは国や金融機関などの新型コロナ支援を受け、新型コロナ関連倒産は10月までは累計3件にとどまっていたが、11月には単月で4件と急増している。レポートでは「コロナ支援効果が薄れ、介護業界でも息切れの兆しがうかがえる」としている。

 1月から10月までの「老人福祉・介護事業」の休廃業・解散は406件、新型コロナの影響や人手不足などで先行きが見通せず、廃業を決断するケースが増加しており休廃業・解散も年間最多であった18年の445件を大幅に上回る可能性が高くなってきた。

 介護業界では通常の持続化給付金や雇用調整助成金などの新型コロナ支援に加え、業界独自の助成金などの支援もあり、これらを活用し事業を継続してきた事業者は少なくない。しかし、感染予防から利用者が激減し売上高が回復せず、影響の長期化の中、事業意欲を喪失する経営者も増えており、休廃業・解散が急増している模様だ。

 コロナ禍で感染防止のため利用手控えが増え売上高が落ち込む一方で費用負担が高まっている。ここに第三波が襲来し再び介護事業者は難局を迎えている状況だ。レポートでは「感染拡大の動向次第で、小・零細規模の事業者の事業継続に向けた追加支援も必要だろう」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)