マンション供給、21年には回復の見込み。在宅ワークの増加などで郊外が躍進

2020年12月24日 06:34

画・マンション供給、21年には回復の見込み。在宅ワークの増加などで郊外が躍進。

不動産経済研究所、「首都圏・近畿圏マンション市場予測」を発表。20年は前年比21.9%減の2.44万戸の見込み

 新型コロナの影響は様々な分野にわたっている。最も深刻な影響が出たのは飲食業や観光業であるが、不動産業もまた大きな影響が出ている。例えば、対面接触回避のために来店者が減少するとともに、内見の予約が激減し契約率にも大きな影響を与えている。緊急事態宣言解除以降、徐々に回復傾向で推移しているものの宣言下での営業自粛の影響も未だ残っており本年は前年割れで推移しそうだ。

 21日、不動産経済研究所が「首都圏・近畿圏マンション市場予測―2021年の供給予測―」を発表している。これによれば、2020年のマンション供給は宣言中の営業自粛が響き、前年比21.9%減の2.44万戸の見込みとなっている。しかし、21年には、前年比31.1%増の3.2万戸と全エリアが回復し、再び3万戸台の供給となりそうだ。この背景には、在宅ワークの増加などで郊外が躍進し、大手、中堅ともに幅広いエリアでの供給を積極化していることがあげられている。

 また、引き続き東京都区部の大規模案件がけん引、近郊エリアも注目タワーが始動しはじめているようだ。都心や湾岸のタワー・大型案件は堅調維持、周辺都市でも注目のタワー案件が登場している。都区部は20年比で30.8%増の1万4,000戸が見込まれ、湾岸に加えて城東エリアなどでの大型に注目が集まっている。また、埼玉県が48.1%増の4000戸と大幅増と見込まれるほか、都下では3000戸、神奈川県でも7000戸にまで回復すると見込まれている。

 ポストコロナで都心離れもあり郊外巻き返しの傾向が見られるが駅近中心となりそうだ。都心についても超高層の人気については変化しない見込みだ。都心の高級物件の人気は変わらず高値安定で、郊外も駅近中心で価格下落の兆候見られない。また、住宅ローン減税の適用拡大で40~50m2前後のコンパクト住戸の人気も上昇する見込みもある。商品企画のテーマもコロナ禍で大きく変化し、専有部、共用部ともに在宅勤務対応が急務となっている。

 近畿圏でも20年のマンション供給は1万8000戸、20年比29.5%の増加になるものと見込まれている。20年は前年比23.0%減の1万3900戸、コロナの影響により、当初予測の1万7000戸より大幅に下振れする見込みだが、21年は大幅増となる見込みで、コロナ前の2019年水準まで回復すると予想されている。近畿圏の供給戸数は、大阪市部6200戸、大阪府下4000戸、神戸市部1700戸、兵庫県下3000戸、京都市部1200戸で、奈良県を除く首都圏・近畿圏の全エリアで大幅増加の見込みとなっている。(編集担当:久保田雄城)