新型コロナの世界的な感染拡大が続いている。一部の国ではワクチン接種が始まったが、未だ終息がいつになるかは不透明なままだ。感染拡大の影響を受け世界の自動車市場は停滞を余儀なくされている。これに伴い自動車部品の市場も縮小傾向だ。
1月7日、市場調査業の富士キメラ総研が自動車部品の世界市場調査の結果レポートを公表している。これによれば、2020年の自動車部品市場は、新型コロナの影響による自動車生産台数の大幅な減少により、前年比21.3%の減少が見込まれている。しかし、20年下半期には工場の稼働も再開し、需要も戻り始めていることから、21年以降は回復に向かい、24年には19年と同程度の市場規模にまでに達すると予測している。
自動車部品の中で最も規模が大きい外装系の市場では、市場をけん引するボディ素材が軽量化の目的で鋼板から高単価のホットスタンプ材やアルミニウム合金などへ置き換わり市場を拡大するとみられている。一方、ボディ素材に次いで規模が大きいタイヤでは、新素材や新製法を用いた高機能タイヤなどの投入が進むものの、中国や韓国メーカーの低価格タイヤが増加し、市場規模としては微増にとどまるとみられている。
内装系では、車室空間の快適性の向上を目的としたシートシステムや空調の高機能化により市場の拡大が予想される。ステアリングホイールについては、将来的に自動運転により不要となる可能性があるが、現時点では自動運転時にインストルメントパネル内に格納される見込みで、一定の需要が続くと予測される。
駆動・足回り系では、インホイールモーターが22年頃からの伸びが期待される一方、デファレンシャルギアやプロペラシャフトなどが不要となり置き換えが進むと予測されている。
パワートレイン系では、ターボチャージャーがけん引しているが、内燃車の需要は30年頃までは増加傾向で推移すると見込まれ、搭載される部品も緩やかな伸びが続くと予測されている。一方で電動車の普及により、電動ウォーターポンプや排熱回収器などサーマルマネジメントに関連する部品が拡大し、この分野は今後大幅な拡大となることが期待されている。
自動車部品市場では、従来の自動車に対するニーズや課題の解決に加え、CASE対応、さらには非接触技術の開発・応用や車室空間を十分に確保した車両設計などウィズコロナ・ポストコロナの対応も必要となっているようだ。(編集担当:久保田雄城)