新型コロナウイルス感染症の影響で欧州の自動車市場は未だ低迷が続いている。コロナ以前に欧州の市場を牽引してきたSUV(スポーツ用多目的車)も成長が停滞したもののマーケットシェアは40%を超えシェアの拡大が続いているようだ。
1月6日、世界的な自動車産業の調査会社であるJATO Dynamics Limitedの日本法人が欧州の自動車市場についての最新レポートを公表した。レポートによれば、2020年11月の欧州の新車販売台数は104万5129台で、前年同月に比べ13%の減少となっており、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続いている。1月から11月までの累計台数は1071万台で、前年と比べ26%の減少となっており、これは今世紀に入ってから最も少ない記録となっている。
こうした状況を同社のグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は「世界的な感染拡大と、そのモビリティへの影響は自動車業界にとって非常に痛手であり、実際、過去20年間にヨーロッパを襲ったどの経済危機よりも痛手であった」と表現している。
過去6年間、欧州自動車市場の成長を一貫してけん引してきたのはSUVだ。リーマンショック後の景気回復の過程で、需要はハッチバック、ワゴン、MPVからSUVへとシフトしてきた。19年の欧州でのSUVの販売台数は603万台で、そのマーケットシェアは38.3%を占め、業界にとって新記録となった。しかし、20年に入ってからは新型コロナの影響により自動車市場全体が低迷し、SUVの販売台数も11月が前年比13%の減少、1月から11月の累計台数では21%の大幅な減少となった。しかし、そのマーケットシェアは40%から41%で推移しており、1月から11月までの累計台数で見た場合、19年の38%から20年は40.4%に拡大している。11月はコンパクトカーのBセグメントとCセグメントは全体の平均を下回ったものの、新型モデルや競争力のある電動化モデルが投入されたことでマーケットシェアを拡大している。
Munoz氏は「市場は、今年SUVのラインナップがより幅広くなったことから大きな恩恵を受けた。しかし、コロナウイルスの影響がまだ完全に残っているため、新型車が投入されると同時に成長したり、かつてのような早いペースで成長することはもはやない」と述べている。(編集担当:久保田雄城)