新型コロナ感染症の影響による自粛ムードの中、巣ごもり需要を取り込み大手家電量販店の業績が好調のようだ。自粛ムードで日本の消費は全般的に落ち込んでいるが、業種、業態の違いにより業績好調と不調の明暗が分かれている。外出自粛の影響を受けやすい飲食や観光、旅客運輸は深刻な状況が続いている。一方で、巣ごもり需要を取り込んだ業種は例年以上に好調な所も存在する。その一つが家電量販店だ。
大手上場家電量販店の今年度の決算状況が概ね判明したようだ。2月5日、東京商工リサーチが大手上場家電量販店6社の本年度の決算見通しを発表している。ここで6社とは、売上高の多いものから、ヤマダホールディングス、ビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、ノジマ、上新電機で、ビックカメラは2021年8月期、その他は同年3月期の決算である。
各社いずれも増益と好調で、ノジマを除く5社は増収となっている。コロナ禍でテレワークや巣ごもり需要など、生活様式の変化で家電ニーズが掘り起こされた形だ。
3月期決算では、ヤマダホールディングスの売上高が前年比6.7%の増加の上に、純利益が前年比74.8%の大幅な増加の見通しだ。ケーズホールディングスは売上が前年比10.1%増、純利益も57.9%増、エディオンは売上が3.6%増、純利益が同36.6%増の150億円と予想、ノジマは売上が4.0%減と見込まれるものの、純利益は182.8%増と大幅増益が見込まれている。
上新電機は業績予想で売上を前年比4.7%増の4350億円に上方修正すると2月5日に発表、純利益も47.7%増で増収増益だ。コロナ禍で新しい生活スタイルが広がり、パソコン、テレビ、ゲーム関連商品の販売が好調だったほか、特別定額給付金の支給で洗濯機、クリーナー、空気清浄機も順調に推移し、EC販売も伸びた。上新電機の担当者は「コロナ禍で空気清浄機が好調だが、なかでも高性能な商品から売れている。売上の伸長に利益も着実に積み重ねている」と増収増益の理由を説明している。
8月期のビックカメラも売上が前年比5.7%増の8960億円と増収、純利益も44.9%の増収増益が見込まれている。コロナが長期化する中、巣ごもり需要等、ウイズコロナの時代に合わせた家電需要を各社とも見込んでおり、今後も好調な推移が予想される。(編集担当:久保田雄城)