アフィリエイト市場が拡大している。2020年度は新型コロナ感染症の影響でわずかに減速するとみられるがプラス成長は維持する見込みだ。背景にはスマートフォンの普及などによってEC化が加速しており、また全国展開する大手企業の広告予算がアフィリエイトにシフトしていることなどがある。
2月17日、矢野経済研究所が「アフィリエイト市場に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、19年度の国内アフィリエイト市場の規模は前年度比108.0%の3099億円、20年度は同105.2%の3258億円とわずかに減速するもプラス成長が見込まれている。コロナ禍でASP企業がどの業種を広告主としたかによって業績が好調であった企業と業績が悪化した企業とが混在し、こうした状況の中で伸び率は鈍化したものの市場全体としてはプラス成長となった模様だ。
市場に負のインパクトを与えるレギュレーションの変更・厳格化も行われている。ITPによるクッキーの制限、Googleアルゴリズムの変更、ヤフーの広告出稿のレギュレーション強化、また、SNSでもレギュレーションの厳格化が図られている。しかし、これらの厳格化は法規制を遵守しない一部のアフィリエイトパートナーや代理店に対して大きな影響を与えるが、優良なアフィリエイトメディアに対してはほとんど影響を与えないと見込まれ、レポートは「こうしたレギュレーションの厳格化については、中長期的に見ると決してネガティブ要因ではない」としている。
市場は今後ますます加速的に拡大すると見込まれているが、その要因は、大手企業であるナショナルクライアント(全国的に営業展開する広告主)のアフィリエイト予算の拡大、サブスクリプション(予約・定期購入など)モデルの拡大、SNSや動画プラットフォームの集客チャネルの活用拡大、キャッシュレス分野の拡大、EC化率の拡大、コロナ禍でのインターネット利用率の増加、アフィリエイト市場参入企業の増加の可能性などが挙げられている。こうした将来展望からレポートは「アフィリエイト市場は今後も拡大を続け、2024年度の国内アフィリエイト市場規模は4951億円まで拡大する」と予測している。(編集担当:久保田雄城)