福島に国立の「国際教育研究拠点」

2021年03月11日 06:06

 政府は福島復興の一環に国際教育研究拠点の整備に取り組む。中でも①ロボット分野②農林水産業分野③エネルギー分野④放射線科学分野⑤原子力災害に関するデータや知見の集積・発信を想定し、政府全体の科学技術・イノベーション政策との整合等を図りつつ、更に具体化を図るとしている。国立研究開発法人を軸に組織形態を検討することとし、立地場所に関しては地元自治体の意見を尊重し、東電福島第一原発事故により避難指示が出されていた地域を基本に選定していく方針という。

 このうち、放射線科学分野では「放射性物質分析技術を生かして放射性廃棄物から有用放射性同位元素を製造し、診断・創薬を含む医学利用に活用する研究や、放射線イメージング技術の画像診断技術等への応用に関する研究など」を研究テーマにあげている。

 エネルギー分野では「カーボンニュートラルの実現につながり、新たなまちづくりやエネルギーシステムの核となる水素利用技術や蓄電池(バッテリー)のリサイクルを含む革新技術の社会実装に向けた研究、環境回復とバイオ製品等の原料生産を同時に可能とする作物の栽培・加工、バイオ製品生産技術等に関する研究」を例示。

 農林水産業分野では「新拠点のロボット技術等を活用 した大規模土地利用型スマート農業や、風評克服のためのフードチェーン全体のICT化等に関する実証研究」などをあげた。

 また、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信をめざす。具体には「東電福島第一原発事故及び廃炉、環境影響、復興等に関して国、地方公共団体、大学、企業等が保有 する各種データ及び知識・教訓等の一元的・長期的な集積や、風評払拭に向けた効果的な情報発信手法、リスクコミュニケー ション等に関する社会科学研究」を進めるとしている。

 菅義偉総理は9日の復興推進会議・原子力災害対策本部会議の合同会議で「福島の復興のため、その前提となる廃炉の安全で着実な実施、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けた取り組みと区域外の方針検討の加速、さらに移住の促進などに取り組んでいく」とし「閣僚全員が復興大臣であるとの認識の下、被災地の復興に全力を尽くしていただきたい」と指示した。(編集担当:森高龍二)