日本経済は2018年後半から景気後退局面に入り、さらに昨年初頭からの新型コロナウイルス感染症の影響で長期的な停滞の中にある。しかし、ここ1年間の新設法人の数は、緊急事態宣言中の昨年5月を除き、月に1万から1万2000件程度で緩やかに増加傾向だ。
3月11日、帝国データバンクが国税庁データをもとに取りまとめた「法人新設移転状況(2021年2月)」を公表している。これによれば、本年2月の新設法人数は1万360件、前年同月比107.8%と増加している。移転法人数は8224件で、都道府県外への移転は1063件、そのうち最も多かったのは東京都から神奈川県への移転で95件となっている。
新設法人数を都道府県別にランキングすると、1位は東京都の3026件、2位が大阪府の1055件、3位は神奈川県の731件、4位愛知県499件、5位埼玉県496件の順となっている。
流入法人数と流出法人数の差を都道府県別に見ると、流出超過が最も多いのが東京都で、流入法人数が280件に対し、流出法人数は378件で差し引き98件の流出超過だ。次いで大阪府が流入法人数92件、流出法人数は108件で16件の流出超過、続く北海道は流入法人数が4件に対し流出法人数は16件で12件の流出超過だ。以後、岡山県、宮崎県と続くが、上位3都府道は新型コロナの流行が顕著であった地域でコロナの影響も背景にあるとも想像できる。流出法人数、流出超過数がダントツで多い東京都からの移転先は神奈川県への95件が最も多いが、このところ企業の東京都からの流出が続いている。
逆に流入が超過している地域のランキングを見ると、1位が千葉県で流入法人数が90件に対し流出法人数が58件、流入超過数は32件となる。次いで埼玉県が流入法人数102件、流出法人数76で流入超過数は26件となっている。流入法人数、流出法人数をそれぞれで見れば埼玉県が千葉県の数を上回っている。3位は茨城県の流入法人数27件、流出法人数13件、流入超過14件で、上位2位の千葉県、埼玉県が3位以下と大きく差を付けている。これらの県は東京近隣の県だ。
昼間人口別にランキングを見ると、昼間人口5万人以下の自治体では北海道の自治体がランキング上位を占め、20万人以下の自治体では大阪府や沖縄県の自治体が上位に位置し、40万人以下の自治体では、東京都など都市圏を中心とした自治体が上位となっている。(編集担当:久保田雄城)