燃料デブリの冷却を空冷にし汚染水増防げと提案

2021年04月11日 08:14

 国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は東京電力福島第一原発事故直後の2011年3月26日からこれまで過去10年で32回、放射線専門家チームが行ってきた調査の結果を「福島第一原発2011-2021」として8日までに報告書にまとめ発表した。

 報告書では「政府データを分析すると、政府が除染の責任を負う840平方キロメートルのSDAの大部分が、放射性セシウムで汚染されたままで、除染された面積はSDA全面積の15%程度に過ぎない」と指摘。

 また「2017年に避難指示が解除された地域、特に浪江町と飯舘村では放射線レベルが安全といえるレベルを超えたままで、住民を潜在的ながんリスクにさらす可能性がある」と警鐘を鳴らしている。そのうえで「避難指示の解除を継続する計画は公衆衛生の観点から受け入れられない」としている。

 また、グリーンピースから執筆依頼された元ゼネラル・エレクトリック社で東電福島第一原発などに勤務していた原子力コンサルタントの佐藤聡氏は「現行の廃炉計画」について(1)3基の原子炉圧力容器に残る数百トンの燃料デブリを回収するための信頼できる計画はない(2)原子炉を冷却するための水、建屋に流入する地下水の汚染、タンクに蓄積される放射能汚染水は新たなアプローチを採用しない限り、今後も増え続ける(3)燃料デブリが回収されたとしても、それも敷地外で保管するというのは非現実的。現行の計画は現行ロードマップの30~40年という時間枠では達成不可能」と断じている。

 そのうえで佐藤氏は「長期的に安全な格納容器を建設し、燃料デブリの除去を50~100年以上遅らせることを含め、アプローチを抜本的に再考し、新たな廃炉計画を立てる。放射能汚染水の増加を防ぐため、燃料デブリの冷却を水冷から空冷に変更する。さらに、福島第一原発敷地に深い堀を建設し、地下水から隔離された『ドライアイランド』にする」ことなどを提案している。(編集担当:森高龍二)