IOCのトーマス・バッハ会長が28日の東京五輪・パラ大会開催に向けた5者協議で「日本の社会は連帯感を持ってしなやかに対応している。逆境を乗り越えてきている。五輪も乗り越えることが可能だ」などと発言したことに、日本共産党の志位和夫委員長は「五輪とは『乗り越える』べき困難・苦難なのか? 『乗り越える』べきは、コロナ危機であって、五輪ではない」とツイッターで酷評した。この期に及んで、五輪開催ありきの姿勢を強く非難し、開催を危惧したもの。
志位氏は「首相が『IOCが開催権限を持っている』で逃げ続けることは許されない」とも29日に発信。「IOCに日本国民の命を危険にさらす『権限』などありえない。主権国家として国民の命優先の立場から中止を決めるなら、IOCにそれを覆すことなどできない。中止を決断する責任は、菅さん、あなたにある」と菅義偉総理に中止を決断するよう強く要請している。
一方、五輪パラ大会組織委員会の橋本聖子会長は5者協議後の会見で「無観客の覚悟を持っている」と無観客でも開催したい姿勢を示した。しかし開催すれば世界から集まるアスリート、その関係者ら約9万人を迎えることになる。国内でのコロナウイルス感染者への治療に加え、コロナワクチン接種にも追われる医療関係者への負担は許容能力を超えるのではないのか。
すでに都内に5月中に設置することになるコロナワクチン大規模接種センターに医師や看護師資格を持つ自衛隊の医官・看護官らが手を取られている。センターは3か月開設する。この状況で五輪組織委員会は日本看護協会に500人の看護師を要請するなど、開催ありきの誤った判断にネット上では批判の声があふれている。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は28日の衆院厚生労働委員会で「感染レベルや医療のひっ迫状況を踏まえて(五輪パラ大会の開催是非の議論を)しっかりやるべき時期に来ている」と提言した。(編集担当:森高龍二)