健康志向の高止まりにより、安定しつつある健康食品・サプリメント市場。新たな成分が出ては消えるこの市場につき富士経済が、健康(Health)や美容(Beauty)に良いというコンセプトを持った健康美容食品(H・Bフーズ)の国内市場を調査、発表した。
健康食品・シリーズサプリメントを合算した機能志向食品市場は、2011年に前年比4.5%増の6849億円であったものが、2012年は前年比1.6%増の6961億円が見込まれるという。2011年は骨・関節サポート、ダイエット、エチケットの3訴求効能が二桁成長を遂げたものの、2012年はこれらを含め多くの成分で成長が鈍化。骨・関節サポートは、2011年が前年比122.1%の547億円であったものが、2012年は599億円が見込まれ同109.5%に。幅広い年齢層で需要の高い美肌効果を訴求したものでも、2011年は前年比109.1%であったものが2012年は同104.6%と軒並み鈍化している。いずれの成分も、競争が激化や積極的なプロモーションを展開している企業への需要集中などが見られ、成分の人気に頼るだけでは実績を伸ばすことが難しくなっている。プラセンタのように前年比倍増と急成長した成分も見受けられ、今後市場を牽引すると期待されているものの、2013年でもその市場規模は100億円を超える程度と、規模は大きくない。
こうした中、一昨年後半から注目を集め、急激に認知度を上げたレスベラトロールはどうか。一時期はあらゆるメーカーからレスベラトロールを配合した製品が発売されていた。しかし今年は、ポーラが「レスベラトロール」と「黒ウコンエキス」を緑茶に配合した「恵美茶黒の極」を2013年3月4日に発売すると発表した程度であり、メジャーなメーカーの動きは鈍い。昨年後半も、日清製粉グループ の日清ファルマやアテニア、アデランス などがレスベラトロール配合のサプリメントを発表しているが、レスベラトロールを主成分としている商品はアテニアの「レスベラトロール」のみである。長寿作用が期待できるとして鳴り物入りで市場に登場しただけに、あまりにも短いブームであったと言えるのではないだろうか。となると、訴求効果が異なるとはいえ近時急成長しているプラセンタも、期待はずれに終わる可能性があるであろう。また、ファンケル が3月19日から発売するサプリメント「グッドエイジPSG」に配合されているPSGも、老化の根本原因に着目した成分ということで注目は集めそうであるが、行く先は不透明である。
古くからサプリメントとして存在し、認知度が高く、市場規模の大きな成分の成長が鈍化。新たな成分は短期のブームで終わってしまう。となると、近い将来に市場のピークは到来し、減少に転じるのではないだろうか。団塊の世代が市場を牽引すると見られてはいるものの、20年もすれば牽引力は確実に弱まる。すでに企業ごとの需要の偏在が顕在化し始めているというから、メーカーの淘汰が加速するのも時間の問題であろう。(編集担当:井畑学)