政府はアルジェリア人質事件を踏まえ、縦割り行政の弊害を解消するため、危機管理を総合的に行い、迅速に対応できるよう官邸に日本版NSC(国家安全保障会議)を早期に設置したい考えで、今国会への法案提出を目指す。
日本版NSCは外交・安全保障政策の司令塔となるもので、創設を検討するための有識者会議(議長・安倍晋三総理)で検討が進んでいる。
安倍総理は「戦略的観点から日常的・機動的に議論する場を創設し、政治の強力なリーダーシップで迅速に対応できる環境を整えたい」考えを会議席上で示している。
特に「日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している」として「内閣をあげて外交・安全保障体制の強化に取り組む必要がある」との認識を示した。
有識者会議は安倍総理、菅義偉官房長官、礒崎陽輔総理補佐官(国家安全保障会議担当)、漆間巌元内閣官房副長官、西原正平和・安全保障研究所理事長、増田好平防衛省顧問、宮家邦彦立命館大学客員教授、宮崎緑千葉商科大学政策情報学部長らで構成している。
もともと平成18年9月の自民党総裁選で安倍氏が日本版NSC構想を提唱し、第1次安倍内閣で19年4月にNSC法案を国会に提出したものの、福田内閣の下で法案審議の状況にないとされ、20年1月に廃案になった経緯がある。その後の安全保障環境の変化で、再び、設置の必要がいわれるようになった。(編集担当:森高龍二)