パンデミックの中での五輪開催に対して、中止や延期を求める世論とともに、自治体などが予定する「パブリックビューイング(PV)」についても人流増につながるパブリックビューイングは非常に危険だとして、計画中止を求める声が広がっている。自治体では埼玉県に続き、千葉県も大型スクリーンでのパブリックビューイングや関連イベント中止を表明した。
「感染拡大が続く中で五輪大会の感動や興奮を共有して盛り上がり、県の魅力を内外に発信するという目的は達成できない」(熊谷俊人千葉県知事)「感動と興奮を共有する意義と感染拡大リスクを総合的に勘案して判断」(大野元裕埼玉県知事)は説明。
パブリックビューイングに関しては「東京都・井の頭公園と全国自治体のパブリックビューイングの中止を求める」ネット署名活動も10日から始まり、11日午前9時台で2500人以上が賛同している。
署名への呼びかけでは「人流抑制こそが大事とする政府方針にも関わらず、大規模なパブリックビューイングが全国で実施予定。東京・代々木でのライブサイト(パブリックビューイング)は中止になったが、2万人規模を想定する井之頭公園ライブサイトでのパブリックビューイングは準備中だ」とし、小池百合子都知事が「都民の皆様、外出の自粛をお願いします。特に、平日の夜8時以降、土曜日・日曜日は徹底してください。都県境を越える移動も控えてくださいとの呼び掛けと真逆。まさに不要不急の人流と密を作り出す」と中止を強く求めている。人流増につながるとして、全国の自治体に対してもパブリックビューイングの中止を要請している。
井の頭公園に関しての呼びかけでは(1)2万人が井の頭公園に集まった後の吉祥寺、三鷹の喧騒、電車の過密は許されるのか。(2)米国での放送時間を考慮してサッカーや野球の試合は終了が22時。22時にパブリックビューイング会場を出た2万人はどうするでしょう。仮に非常事態宣言かまん延防止下にあったとすると殆どの飲食店は閉まっており、膨大な数の方がコンビニでお酒を買い、路上飲みとなるのではないか。吉祥寺・三鷹エリア、全国のパブリックビューイング会場周辺に第5波を招くきっかけになる。
(3)過去のサッカーパブリックビューイングの例を見ると、国立競技場で実施されたパブリックビューイングに埼玉、千葉、神奈川から多数参加があった。埼玉スタジアムで行われたパブリックビューイングには東京の参加者も多数いた、とし、都県と超えた集客になることなどを指摘している。
こうした中、東京都が都内すべての五輪・パラリンピックパブリックビューイングの開催を地元自治体との意向を聞きながら、中止の方向で検討に入ったという報道(時事通信11日)もある。また、愛知県の大村秀章知事は10日の全国知事会で「国も統一的にパブリックビューイングをやめてくれという方針を出し、周知してほしい」との意見を出している。愛知県では県内市町村、関係団体に開催しないように通知しているという。(編集担当:森高龍二)