1990年代後半から日本の実質賃金指数は下がり続けている。名目賃金は2010年代には下げ止まり横ばい傾向になったが、アベノミクスの金融緩和で円安が進み、輸入物価押し上げによって消費者物価が上昇し、実質賃金の下落傾向は勢いを増した。実質賃金指数は平均値なのでパート・アルバイトなどの短時間労働者の増加などの影響もあると想像できるが、実質賃金下落に加え2度の消費税率の引き上げもあり家計が圧迫されていることは間違いないだろう。
6月3日、WebマーケティングコンサルタントのSheepDogが5月に実施した「現状の給与への満足度に関するアンケート」調査の結果レポートを公表している。この調査は5月28日に全国の20歳から59歳の男女400名を対象にインターネット上で行われたものだ。
レポートによれば、「月々の給与に満足しているか。不満な場合どの程度の給与上昇を希望するか」という質問に対して、「今の給与に満足している」と答えた者の割合は15.8%にとどまった。「不満」と答えた者の希望する給与アップの金額を見ると、「1万円程度」が7%、「3万円程度」が24.5%、「5万円程度」29.3%、「10万円以上」が23.5%となっている。「5万円程度」が約3割と最も多いが、「5万円程度」と「10万円以上」を合わせると52.8%と半数超えが「5万円以上」の給与のアップを希望していることになる。さらに「3万円程度」も加えると77.3%と約8割近い数字となる。この結果からレポートは「日本で働く正社員は給与への満足度が低いと言える」と結論づけている。
「10万円以上の給与アップを希望」する者の割合を年代別に見ると、「20代」が17%、「30代」が23%、「40代」19%、「50代」が35%と「50代」が突出して高くなっている。レポートでは「50代は20代と比べ、既婚率も高く子供の教育やさまざまなことにお金を使い、また、若手社員と比べ昇給の機会も減るケースが多いことから現状の給与に不満を持つ者が増えていると考えられる」と分析している。「今の給与に満足している」と答えた者の割合を「未婚」、「既婚」別に見ると、「未婚」では18.2%であるのに対して、「既婚」では11.8%と、やはり既婚者ほど満足度は低いようだ。
レポートは「長らく続く不況に加え、昨今の新型コロナウイルスの影響で給与が上がらず不満を抱えている人が多くいることが、今回のアンケートから推察される」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)