日本のICTが世界から10年以上遅れをとっていると言われてから久しい。2010年代後半はWindows10への移行に伴いIT投資が活発化した。政府もデジタル庁を設置しDX(デジタル化)の推進を図ろうとしている。遅々として進まぬ日本のDXだったが、新型コロナ感染症対策としてテレワークの普及がある程度進み、日本のDXも加速しだし各企業ともDX促進に努力している。
今年5月にIT業のドリーム・アーツが従業員数1000名以上の大企業に所属する個人を対象に、非IT部門の現場部門が主体となったデジタル化の取り組みの実施状況を把握するため「大企業の業務デジタル化の取り組みに関する調査」を実施、この結果レポートを7月1日に公表している。
レポートによれば、現場部門が主体となった業務デジタル化の実施状況については、「実施中で課題がある」との回答割合は67%で、「未実施だが、計画がある」が10%、両者を合わせると77%が「実施中」または「実施計画がある」と回答したことになり、大企業においても現場部門主導の業務デジタル化の取り組みが浸透しているようだ。一方、「実施予定はない」との回答も13%存在し、少数ながら全社統制がとりづらいなど大企業では業務デジタル化の推進に抵抗感をもつ企業も存在しているようだ。
現況の課題について質問した結果では、「ツールの乱立」が49%とダントツで多く、次いで「データの散在」31%、「IT部門が多忙」21%と続き、「適切なツールがない」との回答も20%存在した。大企業では現場部門の利便性だけでなく、全社業務や部門横断業務など全社的に共有できるプラットフォームなどの高度な業務要件に対応できる柔軟性も求められるため部門毎で最適化されたシステム導入と合致した「適切なツール」を選定することは多くの困難を伴うようだ。全社を統括できる「IT部門が多忙」という課題は大企業が現場主体の業務デジタル化に取り組む1つの要因になっているといえる。
「ツールの乱立」はもちろん、「データの散在」は全社的な企業戦略を構築して行く上でも望ましくない。全社統制を利かせながら現場部門主導で迅速な業務デジタル化を推進することは至難の業のようだ。「デジタル活用の課題はない」と回答した企業は僅か5%のみだ。ドリーム・アーツでは「大企業の業務デジタル化成功事例集」もネット上で配布している。(編集担当:久保田雄城)