2020年度から小学校での「プログラミング教育」が必修化された。「プログラミング教育」と聞くと、パソコン技能の習得や、プログラミング言語の基礎を学ぶものと想像してしまいがちだが、プログラミング教育の主な目的は「プログラミング的思考」の育成にある。パソコンや機械を使って、「何をどのようにすれば、実現したいことが形になるのか?」を論理的に考える力を、プログラミング教育によって養っていくことが本質だ。
新たな教育を受ける子供たちの保護者も、プログラミング教育への関心は高い。ITメディア「PS-One」を運営するライブルベースが行なった調査によると、プログラミング教育必修化の認知度は、95.5%まで高まっている。必修化の是非についての問いには、約90%の保護者が賛成と回答。今やインターネットが必要不可欠な時代。パソコンに少しでも早く慣れて欲しいのは、イマドキの親心なのかもしれない。
プログラミング教育は授業の中で学ぶだけでなく、保護者の理解と協力も必要だ。国語や算数と同様、自宅のパソコンで復習することで、学校で学んだ論理的思考力をより深めることができるようになる。とはいえ、何をどう始めれば良いのやら、途方に暮れている保護者も多いのではないだろうか。そこでオススメしたいのが、ゲームを活用したプログラミング教育だ。
2019年から始まったプログラミング教育施策「Minecraftカップ」というものがある。 ブロックを使って建物を建築したり、街づくりができることで有名な「Minecraft」というゲームソフトの教育版を使用し、テーマに沿って、世界を創造する「構築力」、そのために必要な情報を収集する「調査力」、スケジュールの管理と期日までに仕上げるための「計画力」、作品を魅力的に伝える「発表力」を競い合うもので、18歳以下を対象として開催されている。国内の企業も数多く支援しており、元文科省副大臣や、小学校教諭、有名建築家などが審査員に招かれて行われる、一大プロジェクトなのだ。
中でも「ゴールドパートナー」として参画する大手ハウスメーカー・積水ハウスは、全体の作品テーマを「SDGs時代のみんなの家、未来のまち」に設定した。大会参加者に住宅の仕組みを紹介する特設サイトを開設したり、積水ハウス住宅展示場の見学機会を提供するなど、持続可能な未来の家とまちを考えるヒントを与えている。8月28日にはプロマインクラフターや人気YouTuberなどが「未来の家やまち」について対談する大会参加者向けのオンラインイベントも予定されており、YouTube LIVEと積水ハウスの対象展示場で視聴可能だ。また積水ハウス以外の企業も個別に賞を設けるなど、大会の盛り上げ役を担っている。エントリーは大会ホームページから行うことができる。
経済産業省の調査データによると、2030年には約79万人のIT人材が不足すると予測されている。家庭やオフィス、生産現場、生活インフラなど、世界中のあらゆる場面で今、AIの導入やIoT化、センサーなどの技術を駆使した自動化が急速に進んでいる中、IT人材の不足は国力にも影響する。
もちろん、プログラミング教育は何も、将来IT業界に就職する子どもを養成するためだけのものではない。でも、基礎的な知識や思考を持っているだけでも、理解力は随分変わってくるはずだ。引いてはそれが、日本の底力となるだろう。少しでも多くの子どもたちとその保護者がプログラミング教育に興味と感心を持ち、ともに論理的な思考を身につけ、未来の日本の力に育ってくれることを期待したい。 (編集担当:今井慎太郎)