2020年4月から小学校での英語教育が必修化された。しかし、現状でも多忙な小学校教員にとって十分なトレーニングを受けていない英語教育は大きな負担であり、強い不安を感じている者が少なくないようだ。
英会話教室を運営するイーオンが自社の主催するオンラインセミナーに参加した小学校教員132名を対象に「小学校の英語教育に関する教員意識調査 2021 夏」を実施し、その結果を9月2日に公表している。これによれば、小学校5・6年生の英語を「教科」として教えた教員に「授業運営がうまくいっているか」と尋ねた結果、「うまくいっている」3%と「おおむねうまくいっている」24%の合計は27%となっている。一方、「あまり自信がない・不安のほうが大きい」22%、「うまくいっていない」11%の合計は33%となり英語の授業運営に戸惑っている教員のほうが6ポイント多い。
3・4年生の「外国語活動」においても、「うまくいっている」2%、「おおむねうまくいっている」20%の合計は22%、「あまりうまくいっていない・不安のほうが大きい」17%、「うまくいっていない」7%の合計は24%となっており、2ポイント差であるが「うまくいっていない」と感じている者が多くなっている。
5・6年生を担当した教員に「教えるのが難しい」と感じている項目を尋ねた結果、「スピーキング(やりとり)」が35%で最も多く、「スピーキング(発表)」は16%となっている。3・4年生担当でも「スピーキング(やりとり)」が47%と最も多く、「スピーキング(発表)」は21%となっており、やはり「スピーキング」の指導が難しいと感じている教員が多いようだ。
現状でも多忙な小学校教員に研修などの時間を確保させることは実際上困難だ。そこで文科省は学級担任を持たず英語のみを教える「専科教員」の増員を進めていく考えを示しているが、これについて意見を聞いた結果、「とても良いと思う」が46%、「どちらかといえば良いと思う」35%で、両者を合わせると81%の教員が「専科教員」の増員を望ましいと考えているようだ。
課題と感じている点については「児童の評価の仕方」が22%でトップ、次いで「ALTとのコミュニケーション」15%などが続き、教員自身の英語力と関係する項目が上位となっている。現状では教員に過剰な負荷を与えているだけのように感じられる。専科教員の増員も含め、さらなる改善が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)