新型コロナ感染症の流行に伴いテレワーク利用が急拡大した。テレワーク勤務で多く指摘される問題が上司や同僚とのコミュニケーションの取りにくさだ。テレワークの場合、コミュニケーションの内容は業務に関わることのみになり、オフィスで勤務しているときのような雑談はほぼ無くなると言ってよい。雑談が業務にとって必要か必要でないか議論となるところだが、多くの者は業務遂行の上で雑談がポジティブな効果を持っていると認識しているようだ。
10月4日、日本能率協会が8月に全国の20歳から69歳までの正規就業者1000名を対象に実施した「ビジネスパーソン1000人調査(雑談機会と効果)」の結果を公表している。テレワークの実施状況については、「テレワークを行っている」と回答した者は31.5%で、「週3日以上行っている」者は15.7%となっている。雑談の機会はテレワークの有無に関わらず「出勤時に対面で行う」が全体の7割超となっている。レポートでは「コミュニケーションツールを利用しての会話よりも相手の顔が見えたり、その場の空気を読んだりすることができる点に利便性を感じている」と分析している。
コロナ前と比較した「雑談」機会の変化に関しては、35.6%が「減った」と回答している。テレワークの有無で見ると、テレワークを行っていない者では7割が「変わらない」と回答しているのに対して、週1日以上のテレワーク実施者では5割超が「減った」と回答しており、やはりテレワークは雑談機会を大きく減らすようだ。実際、テレワーク実施者の8割以上が「雑談がしにくくなった」と回答している。
「雑談が自分の業務の生産性を高めると思うか」と聞いた結果では、全体の61.6%が「そう思う」と回答し、テレワーク実施者では73.0%にのぼる。「雑談が創造性を高めるか」という問いには、全体で60.3%が、テレワーク実施者では71.8%が「そう思う」と回答している。「雑談が職場の人間関係を深めるか」との質問には、全体で76.6%が、テレワーク実施者では83.4%が「そう思う」と回答、「雑談は自分にとってプラスと感じるか」に対しては、全体で79.5%、テレワーク実施者で86.0%が「そう思う」と回答している。テレワーク経験者のほうが雑談の重要性を強く感じているようだ。レポートでは「オンラインでのコミュニケーションツールを、時にはインフォーマルな雑談に活用するといった工夫をすることも効果的」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)