日本弁護士連合会はJR東日本が重罪犯での服役後の出所者や仮出所者、指名手配中の被疑者など顔情報をデータベースに登録し、ネットワーク化された8350台のカメラ映像と自動照合して対象者が検知された場合に警備員が目視の上で必要に応じて警察に通報するなどしていたことについて「鉄道事業者による顔認証システムの利用は直ちに中止されるべき」との会長声明を25日発表した。
声明では「民間事業者の場合も含め、顔認証システムの利用は必要性及び相当性を慎重に検討した厳格な法律の定めに基づき行われるべき」と指摘している。
JR東日本は重罪犯での服役後の出所者や仮出所者への顔認証システム利用は現在していないとのことだが、指名手配中の被疑者やうろつくなど不審な行動の人物に関しては今もしているという。
日弁連は「不特定多数者に対する顔認証システムの利用は市民のプライバシー権侵害の程度が大きい。民間事業者が利用する場合においても、対象者の明示の同意を定めるなどし、かつ国会で必要性及び相当性などについて慎重に検討した法的ルールがないままなされるべきではない」と警鐘を鳴らしている。
また「民間による捜査協力としても、駅員がたまたま指名手配犯を発見するのとは違って、多くの駅構内にいる全ての人を監視対象とする、いわば指名手配犯発見装置を鉄道事業者が24時間、組織的・継続的に稼働させているようなもので、警察の犯罪捜査体制に日常的に組み込まれているとも言うべき関係になっている」と問題を指摘。「実質的に警察が顔認証システムを設置し法令上の根拠も裁判所の令状もなく利用しているに等しく、強制処分法定主義(刑事訴訟法第197条第1項ただし書)を潜脱する」と即刻中止を求めた。(編集担当:森高龍二)