岸田文雄総理は年頭にあたって、所感で「自由民主党結党以来の党是である憲法改正も、本年の大きなテーマ」とし「国会論戦を深めるとともに、国民的議論を喚起していきます」と改憲議論を喚起する姿勢を明確にするとともに「本年の大きなテーマ」と位置付けた。最大の論点は憲法9条(戦争の放棄)規定に関するものになりそう。
改憲推進派のマスコミ論調は「『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して』国民の安全を図ろうという『おめでたい』憲法はもう要らない」などと、現行憲法が「武力による威嚇や行使によらない」平和安全外交の努力によって平和を維持し、防衛装備も「必要最小限」にすることを徹底する平和憲法を「おめでたい」と貶める向きもある。
しかし、憲法9条に象徴される戦争放棄という憲法「規定」の遵守とその精神により、戦後、これまでの間、日本は平和を維持してきた。マスコミが、憲法前文や9条規定を『おめでたい』と貶めることに、違和感を持つ国民もいるだろう。
憲法前文では、さきの侵略戦争を反省し「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定した」。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し」戦後、先人たちが歩んできたことを忘れてはならない。
岸田総理は「私は国民の声を良く聞き、丁寧で謙虚な政治を行うと申し上げ、国民の皆さんから大きな信任をいただいた。本年も、多くの方の声を聞きながら、国民のために何が最善なのかという観点から、政治としてしっかりと決断し、結果を出していく覚悟」と述べた。
そして「その際、一度決まった方針であっても、国民のためになると思えば、前例にとらわれず、躊躇せず、柔軟に対応する。そうした姿勢を大切にしていきます」との姿勢を強調している。
憲法となればなおのこと、通常案件以上に国民の多様な声をきき、改憲を目的とする結論ありきで走ることなく、常に謙虚に、慎重に歩む姿勢こそが求められよう。
日本共産党の志位和夫委員長は4日の党旗びらきで「岸田政権による9条改憲の企てを断固阻止する」とし「5月3日の憲法記念日に向けて、9条改憲阻止の署名を全国津々浦々から1000万人の規模で集める」と表明した。(編集担当:森高龍二)