新型コロナ・パンデミックで先行き不透明感が増大し、企業の危機対応力の重要さが再認識させられた。感染の拡大により直接悪影響を受けた企業もあれば、取引先企業などへの悪影響で間接的影響を被った企業など様々だ。グローバル化した経済では特定地域の危機がまたたくまに全世界に影響を与える。コロナ禍でサプライチェーンの混乱などで事業の遂行に影響が出た業界、企業は少なくない。また、ビジネスモデルそれ自体の見直しを迫られた企業も多い。
コロナ以前よりグローバル化の中で高まる不確実性に対処するためBCP(事業継続計画)策定の重要性が唱えられてきた。BCPとは、企業が災害やテロなどの危機に直面しても、企業の存続に関わる重要な業務を継続できるよう、事前にその戦略を定義したものだ。いわば有事の際の行動指針だが、パンデミックはまさにその有事であり、BCP策定の必要性を改めて実感させるものだ。しかし、現実にコロナを契機にBCP策定へと動いている企業は3割にとどまる。
帝国データバンクが1月中旬に実施した「オミクロン株の感染拡大を踏まえた事業継続計画(BCP)に関する企業の動向アンケート」(有効回答1595社)の結果レポートを公表している。これによれば、昨年の調査で、事業継続困難となり得るリスクとして「自然災害」がトップとなっているが、コロナ禍で「感染症」が2位へと急上昇している。新型コロナを契機にしたBCP策定意向について聞いた結果では、「現在、策定中」が5.3%、「策定を検討している」23.4%で、合わせて28.7%、約3割の企業がコロナを契機にBCP策定意向を持ったようだ。このほか既に策定済みだが「見直しを行っている」とする企業が6.2%、「見直しを検討している」は11.2%存在する。半数近い企業がコロナ禍で危機管理のあり方について再検討を迫られたようだ。また、既に策定済みでコロナを契機としては「見直す予定はない」と回答した企業も20%存在する。
一方で、未策定で今後も「策定する予定はない」が24.3%、「わからない」も9.0%存在し、3社に1社はBCP策定の意向はないようだ。「予定がない」企業を見ると、大企業では14.6%と少なくなっているが、中小企業25.9%、うち小規模企業31.6%と多くなっており、自由回答欄からは策定における「人材や時間の確保」が課題となっている様子がうかがえる。レポートは「ポストコロナ時代にはあらゆる危機に『強い』企業が増えていくことが期待される」と結んでいる。(編集担当:久保田雄城)