2021年6月に「改正育児・介護休業法」が成立・公布され、今年4月から段階的に施行される予定だ。メディアでも「男性が育児休業を取りやすくなる制度改正」として大きく取り上げられてきたこともあり、その認知度は高く、また肯定的な評価が多い。一方で度重なる制度改定で制度が複雑化しており「がわかりにくい」という声も存在する。さらに人手不足が深刻化している中、休業中の代替要員の確保やそのコスト負担もあり「休みたくても休めない」と言った声も少なくない。
企業の人事担当者を対象にエン・ジャパンが実施した「改正育児・介護休業法についてアンケート調査」(調査時期:21年12月下旬~22年1月、有効回答:393社)の結果レポートが2月15日に公表されているが、これによれば、「4月からの『改正法』を知っているか」との質問に対しては、79%の人事担当者が「知っている(「よく知っている」16%、「概要だけは」63%)」と改正法の認知度は約8割と高いようだ。今回の改正法についての評価を聞いた結果では、8割が「良いと思う」(「非常に良い」22%、「まあ良い」58%)と回答している一方で、全体の8%、従業員数300名未満の中小企業では10%が「わかりづらい」と回答している。「度重なる法改正で制度が複雑化している」という指摘も見られ、制度の複雑化で担当者が対応に苦慮している様子もうかがえる。
人事担当の「育児休業に関する悩みや懸念」について聞いた結果では、「休業社員の代替要員の確保とコスト」との回答割合が62%と突出して高く、次いで「男性社員の育休取得や育児参加による人員不足」が32%となっており、人手不足が深刻化している中、男性社員が重要な役割を担っている現況で、男性社員の休業による業務停滞や人件費の上昇を懸念している企業が多いようだ。自由回答を見ると「技術職であることや機密情報の問題もあり、派遣などで代替要員が容易に確保できるとも思えない」(IT・情報処理・インターネット関連)、「法律で必要な人員が定められており、その間の人員をどうするか、コストをいかに抑えるかが課題」(老人ホーム運営)、「余裕のある人員体制ではない」(メーカー)など業種・業態により様々な事情が存在し、一律適用に戸惑っている人事担当も少なくないようだ。(編集担当:久保田雄城)