9月19日が何の記念日かご存じだろうか。実は、この日は「育休を考える日」。大阪に本社を置く、住宅メーカーの積水ハウスが2019年に制定したもので、9月19日の9と19を入れ替えると「いく(19)きゅう(9)」(育休)となる語呂合わせが由来となっている。
積水ハウスでは、全国の小学生以下の子どもをもつ20代〜50代の男女9,400人を対象とした調査を実施。その結果をまとめた「男性育休白書2021」を発行した。
同白書では、「男性の家事・育児力」の指標として①女性(妻)の評価、②育休取得経験、③家事・ 育児時間、④家事・育児参加による幸福感の4つの指標を設け、ポイント算出により都道府県ランキングを作成。沖縄県が男性の家事・育児力全国ランキング1位に輝き、2位は鳥取県、3位は奈良県という結果になった。男性の育休取得に積極的でない経営層もいる一方、20代男性の3人に1人が育休を取得していることも同調査で明らかになり、そのうちの60%が「上司からの推奨」を受け、83.8%が「職場も協力的」と回答していることからも、職場からの後押しが男性の育休取得のしやすさにつながっていることが伺える。さらに同調査に回答した79.4%が「育休取得は仕事の生産性向上に役立つ」と育休効果を実感しているということも興味深い。そして、昨年から続くコロナ禍の中、育休で思わぬ家庭円満効果も生まれているようだ。リモートワークをする男性の68%で家事時間、64.9%で育児時間が増加している。しかも、家事 ・育児をした31%の男性が「妻への感謝の気持ち」を感じており、リモートワークをした男性は33.9%とさらに高い結果になっているのが興味深い。
近年、「イクメン」という言葉も広く浸透し、育児に積極的な父親が増えてきた。しかしながら、職場で堂々と「育休を取得します」と宣言できる環境があるかと問われると、まだまだ厳しいのが現状のようだ。積水ハウスの調査でも、男性の育休取得について、就活生のほぼ全員が「賛成」と答えているのに対し、経営層のうち約4人に1人が「賛成しない」と回答している。
厚生労働省では、男性の育休取得をより一層積極的に推進するため、令和3年6月に「育児・介護休業法」を改正。来年4月から段階的に施行する。今回のポイントとしては、「男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設」「育児休業の分割取得」などが挙げられており、男性の育休取得に対する職場の環境改善が期待されている。
積水ハウスは9月14日にオンラインで「男性育休フォーラム2021」を開催。登壇した各々の企業から、各企業で進める男性の育休制度の状況や、導入の経緯、今後の展望などを紹介し、意見を交わした。
主催者であり、18年9月に、男性の育児休業制度を開始して以来、今年8月末時点で該当する男性社員1,052人の育休取得率100%を誇る、積水ハウスの仲井社長は、「社員が自律的に幸せを掴み取ることに対して支援するのが企業の役割で、そのサポート制度の一つとして男性育休がある」と述べた。近い将来、男性の育休取得が話題にもならないくらい「当たり前」の世の中になることを期待したいものだ。(編集担当:藤原伊織)