入管収容施設の医療体制強化へ早急に対応と法相

2022年03月04日 06:59

 古川禎久法務大臣は名古屋出入国在留管理局の収容施設で昨年3月6日に起きたスリランカ人女性のウイシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の死亡事案を受けて、有識者会議から改善すべき課題を提起されたことについて、2日までの会見で「名古屋事案のような出来事を二度と繰り返さないという強い決意の下、提言をしっかり受け止め、必要な対応を早急に実現していきたい」と迅速に対応することを強調した。

 入管収容施設の医療体制強化のための有識者会議の報告書について、古川大臣は(1)常勤医師を中心とした複数医師による対応体制の構築など庁内診療体制の強化(2)外部医療機関との連携体制の構築・強化(3)必要な医療用機器の整備・更新、その他の医療提供上の改善策など、医療体制の強化に向けた多層的な方策が取りまとめられている」と説明。

 そのうえで「いずれも、入管収容施設の医療体制強化に向けた重要な方策だと認識している」と実効性のある対応をしていく考えを示した。

 ウイシュマさんの死亡に関しての出入国在留管理庁が法曹関係者や医療関係者ら外部有識者の協力を得て行った報告書では「病死であるが、複数の要因が影響した可能性があり、具体的機序の特定は困難」としたが、併記する形で「甲状腺炎のほか脱水、抗精神病薬の影響、電解質異常による不整脈等が影響した可能性が指摘されている」とある。また職員に対し「医療的対応が必要な状況を見落とさない意識が必要であり、教育が不十分」と指摘していた。人権尊重への意識づけが特に必要とみられる。(編集担当:森高龍二)