岸田文雄総理は福島県で催された11日の東日本大震災追悼復興祈念式に参列後、翌12日に岩手、宮城両県を訪問。その後の会見で、東京電力福島第一原発事故により増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出への風評被害対策について「ALPS(多核種除去設備)処理水については、まずはIAEA(国際原子力機関)の協力等もしっかりと得ながら、安全性の確保にまず努めなければならないと考える」とした。
そして「安全性について国内外に分かりやすく伝えていくことによって安心感を醸成していく、これが重要と思う。風評被害については風評被害を生じさせないという決意を持って風評対策に、政府挙げて取り組むことが重要と考える」と強調。
岸田総理は「安全性の確保、安全性の分かりやすい発信、風評被害に対してしっかり取り組んでいく、こうした対策を進めることによって、地元の皆様方の理解をいただくことが重要であると認識している」と述べた。
岸田総理は記者団から何をもって地元の理解を得られたと判断するのかを問われ「数量的にこれを測ることは難しいと思いますが、是非地元の皆さんの全体の雰囲気の中で御理解をいただけるよう国としても、引き続きこのスケジュールの中でしっかりと努力を続けていく、これに尽きると思う」と思いを述べたが、説得力の欠けるものになった。
政府はトリチウムの濃度を世界保健機関(WHO)が定めた飲料水基準の約7分の1に薄め、海岸から1キロ先の海洋に放出するとしている。ただ、薄めても海に放出されるトリチウムの全体量は変わらない。(編集担当:森高龍二)