ALPS処理水安全なら、なぜ国内循環利用しない

2021年12月24日 06:07

 日本政府の方針を受け、東京電力が福島第一原発事故に伴い毎日増え続ける放射性物質汚染水(1日あたり140トン増)のALPS処理水(放射性物質トリチウムを含む)を海岸線から1キロ沖合の海中に放出する問題。

 東電が具体化へ工事を進めるための計画を原子力規制委員会に申請したのに伴い、中国、韓国などが「深刻な憂慮」を表明するとともに、計画の撤回を要求している。

 韓国・聯合ニュースは「韓国政府が汚染水の海洋放出について日本側が十分に説明をしておらず、これに対する詳細な説明を要請する内容を盛り込んだ重点質問要求書を日本政府に伝達した」ことを伝えた。

 韓国の原子力安全委員会は日本の原子力規制委員会に対し、書簡で遺憾を表明し「(1)海外の利害関係者の意見を取りまとめ、審査に反映すること(2)関連情報を透明に公開し、情報の要請・質問に積極的に応じるよう協力すること(3)独立的な規制機関として審査に期限を定めず、科学・技術的観点から十分に検討すること」などを要求した、と報道。

 中国外務省も趙立堅副報道局長が「日本は周辺国を含む国際社会の懸念に真剣に耳を傾け、海洋放出という誤った決定を取り消すべき」と計画撤回を強く求める発言を22日の記者会見で行った。時事通信は「(趙報道局長は)もし安全・無害というなら、なぜ国内の湖に放出したり、国内で循環利用したりしないのか、と日本側をけん制した」と報じている。

 国際環境団体グリーンピースは「汚染水を薄めて放出しようと、放出方法を工夫しようと、環境中に放出される放射能の総量は変わらない。トリチウムの半減期は12年だが、炭素14の半減期は5730年にもなる。放出が続く間、これらの放射性物質は海に蓄積され続ける」と強く海洋への放出に反対している。(編集担当:森高龍二)