ロシア進出の日本企業、2割がロシア内の事業停止。完全撤退は未だも、投資家の目、厳しく

2022年03月20日 10:19

画・ロシア進出の日本企業、2割がロシア内の事業停止。完全撤退は未だも、投資家の目、厳しく。

帝国データバンクが「日本企業のロシア進出状況調査(3月)」。ロシア進出の国内168社 約2割でロシア事業停止。完全撤退は確認できず。投資家の目厳しく「ロシア離れ」今後も広がる見込み。

 ロシア軍によるウクライナ攻撃が続いており、日米欧をはじめ世界各国がロシアに対する強い各種制裁を実施している。欧米の素早い対応に比べ日本の対応は、NATOや欧州、旧ソ連内での紛争でもあるためか、動きが緩慢な感は否めない。米国のアップル社や北欧大手のIKEAなど欧米企業はウクライナ侵攻後に素早く営業停止や撤退の意思を表明した。これに対し日本の企業は欧米企業に追随するような形での事業停止や出荷停止などにとどまり、欧米企業との温度差が目立つ。この戦争に対する世界の投資家や消費者の関心は高く、ロシアビジネスに対し厳しい目を向けており、企業のブランドイメージにも強く影響し、今後日本企業も適切なタイミングでの事業の停止・撤退の判断を迫られることになろう。

 3月16日、帝国データバンクが「日本企業の『ロシア進出』状況調査(3月)」の結果レポートを公表している。帝国データバンクのデータベースからロシアに進出している上場企業は168社判明しており、このうち22%に当る37社がロシア事業の停止または中断を公表している。37社以外の未判明企業については検討中の企業も含まれ、今後の動向が注目される。

 37社のうち完成車や建設重機メーカーなど「製造業」が28社と75.7%と多数を占めている。事業停止や中断の内容は、製品の出荷などを含む「取引停止」が22社で37社の59.5%と6割を占め、工場の稼働停止など「生産停止」が7社、店舗などの「営業停止」4社などと続いている。ロシア事業の停止・中断の理由としては、経済制裁で物流が滞り、部品調達が困難となっているため、現地生産や商品の配送などサプライチェーンの混乱を挙げた企業が多い。一方、ロシア現地事業の完全撤退を表明する企業はなかった。

 進出の形態は、現地での販売拠点や駐在員事務所など「オフィス、店舗・販売拠点」が67%で約7割を占め最も多いが、「工場・製造(生産)拠点」も18%と約2割を占め、サービス拠点は28%、約3割だ。上場以外も含むロシア進出判明企業全347社では「工場・製造(生産)拠点」は15%と上場の18%より低く、上場企業ではロシア国内に生産拠点を有する企業の割合が高くなっている。日本企業は現在のところサプライチェーンの混乱などを事業中断の理由としているが、紛争が長期化すれば国際法を軽視する国と取引を行う企業としてブランドイメージが悪化するなど投資家、消費者の厳しい目にさらされることとなる。(編集担当:久保田雄城)