ロシア軍によるウクライナ侵攻が長期化している。幾度かの話し合いも決裂し、人道回廊も実現できず先行き不透明の現状だ。世界各国はSWIFTからのロシア主要銀行の排除など様々な制裁を行っており、日本もSWIFT排除に参加しているほか独自の制裁を行っている。ロシアに対する制裁はロシア経済に大きな打撃を与えるだけでなく日本をはじめ制裁する側の企業にも大きな悪影響を与える。既に半数を超える企業で悪影響が出ており、今後悪影響を受けると見込んでいる企業を併せると7割を超えている。
大阪商工会議所が会員役員・議員148社を対象に、3月4日~8日にウクライナ侵攻に関する緊急調査を実施、11日にその集計結果を公表している。調査結果によれば、ウクライナ情勢のビジネスへの影響について、「現在影響がある」と回答した企業は23社で調査対象の51.1%と半数を超えており、既に影響を受けていると感じている企業は半数超えのようだ。「特に影響はない」は26.7%、「現時点ではわからない・影響を精査中」が17.8%と状況が不透明ゆえに影響を計りかねている企業も少なくないようだ。「今後のビジネスへの影響」については、「影響がある」との回答は33社に上り、全体の73.3%となっている。「現時点ではわからない・影響を精査中」とやはり、現状での先行き不透明ゆえに今後の見通しについても計りかねている企業は多い。今後も「特に影響はない」は6.7%にとどまった。
影響の具体的な内容について複数回答で聞いた結果では、既に発生している「現在の影響」では「エネルギー価格の高騰」31.1%、「原材料価格の高騰」20.0%、「物流(海上輸送・航空輸送等)の混乱・コスト上昇」20.0%、「関連地域との取引中断、サプライチェーン分断」15.6% 、「調達難に伴う混乱・コスト上昇」13.3% 、「世界的な金融市場の不安定化、株価変動」13.3%等となっておりエネルギー・資材高騰と決済・物流での混乱で既に影響が出ている企業が多いようだ。「今後の影響」ついても「エネルギー価格高騰」57.8%、「物流(海上輸送・航空輸送等)の混乱・コスト上昇」57.8%、「原材料価格高騰」51.1%、「国内外の経済活動や需要の停滞」46.7%、「世界的な金融市場の不安定化、株価変動」35.6%と既に出ている影響と内容は同様である。ウクライナ危機が長期化するほど、影響は多くの企業に広がり、影響度も強くなる。早期の終息・安定が望まれる。(編集担当:久保田雄城)