スマートフォンの進化と5G通信の普及、さらにはコロナ禍での非接触生活なども追い風となって、さまざまな分野でインターネットを介した新しいビジネスサービスが誕生している。
そのもっとも代表的なものがサブスクリプション方式のサービス、いわゆる「サブスク」だろう。
サブスクとは、一定期間にわたって利用料を支払うことで、本や音楽、映像作品、ソフトウエアなどを使用できる権利を得られるビジネスモデルのことだ。例えば、動画のサブスク「Netflix」を利用すれば、配信されているすべての映画やドラマなどの作品を好きなときに見放題だし、Adobe Creative CloudやMicrosoft 365といったソフトウェアのサブスクと契約すれば、プロも使用する高性能で効果なソフトが比較的安い値段で使い放題だ。購入するよりも手軽で、お試し的に利用することもできるので非常に便利。しかも多くのサブスクでは自動的に最新の情報に更新されるので、買い替えの手間もいらない。
また、ウーバーイーツのように自宅に居ながら便利に利用できるデリバリーサービスも人気だ。ウーバーイーツ自体はコロナ禍以前の2014年にアメリカで誕生したサービスだし、そもそも日本でも伝統的に出前文化は存在していたが、スマホの普及とコロナ禍の自粛生活を背景に、都心部を中心に爆発的に拡大した。ちなみにウーバー社は今年4月、同社が提供するプラットフォームに飛行機や鉄道、ホテルの予約などの機能を加えて旅行業への参入を画策。複合的なサービスとして、英国で実証を始める計画を発表している。
インターネットを利用した複合的なプラットフォームの提供は日本でも始まっている。
例えば、住宅大手の積水ハウスが4月15日にオープンしたばかりの生活サービス紹介サイト「スイート コンシェル」だ。
「スイート コンシェル」は、同社の住宅オーナー専用サイト「Netオーナーズクラブ」に会員登録した戸建・賃貸住宅オーナーと、その家族を対象にしたサービスサイトだ。医療相談サービス、オンライン英会話、アートの定額レンタルなど、同社独自の研究から導き出された幸せ体験価値を高める4つの要素「健康」、「つながり」、「学び」、生活の「基盤」に基づいたさまざまなサービスが紹介され、会員はそれを選択して利用することができる。また、独自の特典として、初回料金割引、登録時の特典、クーポンなどのお得なサービスに加え、今後は利用履歴やライフスタイルデータを活用したレコメンド機能等も予定しているそうで、それにサービス事業者との提携も積極的に進めているという。
従来、家を建てた後の住宅会社との接点といえば、住宅自体の点検・修理やリフォームといったものが中心だったが、新たなアフターサービスの一つとしても大変興味深い。
充実したおうち時間を過ごすためのサービスは世の中にたくさんあるが、優良なサービスがセレクトされ、それらが一つにまとめられていると、いちいち希望のサービスを探したり、それぞれのHPを巡回したりする必要がなくなり、利便性が格段に上がる。「スイート コンシェル」の名称通り、使いこなせば家族専用のコンシェルジュになってくれるのではないだろうか。
インターネットを利用した新しいビジネスサービスは、慣れるまでは何だか面倒くさく思えたり、逆に不便に感じることもあるかもしれない。でも一旦使いはじめると、もう手放せなくなるような、便利で魅力的なものも続々と増えている。自分に合ったサービスを選んで、上手に利用したいものだ。(編集担当:藤原伊織)