ヤマハ発動機は、ティアフォー、および同社と2020年に設立した合弁会社「eve autonomy(イヴオートノミー)」とともに、3社で新型自動運転EVを開発。また、eve autonomyでは、同車両を用いた自動搬送サービス”eve auto”の来夏の提供開始に向け、先行受注をはじめると発表した。
自動搬送サービス”eve auto”は、屋内外の環境を含む、閉鎖空間における搬送の自動化ニーズに対応できるように開発された自動搬送サービスだ。これまでヤマハ発動機の浜北工場をはじめ、複数の工場での実運用を通じたフィードバックを踏まえて、とくに走破性、牽引・積載能力が必要な顧客の自動搬送ニーズに応えるために開発したシステムだ。
このたびのサービス展開を見据え、そこに合わせた車両を新規開発し、自動搬送サービス向けの量産を見据えた小型EVとしている。ティアフォーが開発を主導するオープンソースの自動運転OS 「Autoware」の技術と、ヤマハ発動機の高い信頼性を持つ車体開発技術を掛け合わせて共同開発した。
一定の段差・傾斜にも対応できる走破性と、天候や周辺物などの変化に対するロバスト性を有しながら、1500kgまでの牽引能力もしくは300kgまでの積載能力を持ち併せる。
今回発表、受注を開始した本サービスでは、自動化を阻む初期導入のハードル「高い初期費用」と「長期間におよぶ導入工事」をクリアすることを目指して、サブスクリプション型契約形態を採用。また、運行管理システムやアフターサポートもワンストップで提供するという。
モノづくり・生産現場の物流状況は、高まる多品種少量生産への要求や慢性的な人手不足により、作業員配置を前提とした従来型の設備・運用では、効率的な生産体制の維持が難しくなっているのが現状だ。
そこでこの自動搬送サービスを導入することで、工場内での効率的なオペレーションの推進や、人為的な事故件数の減少が期待できるとも。
なかでも生産ラインの変化が大きい製造現場・工場や、広い敷地内での搬送ニーズがあるプラント、建物間の坂路を含めた搬送自動化が求められる物流拠点をはじめとした現場で活用が期待でき、さまざまな場所にて利用できる。また、商用サービス以外の用途として、自動運転技術の研究開発プラットフォームとしても高い汎用性がありそうだ。
コラボレーションする3社は互いの強みを活かしつつ、eve autonomyの掲げる「今日から、自動化。」のコンセプトで誰にでも扱いやすい自動搬送サービスを提供していくとしている。
eve autonomy代表取締役CEOの米光正典氏は、「自動運転は難しい、というのは過去の話になりました。すぐ誰にでも、簡単に使うことができる、そんな自動搬送サービスができました。製造業だけではない多くのお客さまから引き合いを頂いており、ご期待に応えられるよう、さらなる事業推進を図ります」と述べた。(編集担当:吉田恒)