日産自動車は新型「フェアレディZ」日本仕様車全グレードの価格を発表した。「Z」は、これまでに世界で180万台以上の実績がある世界の、なかでも米国のスポーツカーファンに支持されてきたスポーツモデルだ。
予定よりもやや遅れてこの夏から販売される新型「Z」は、歴代モデルのオマージュを感じさせる内外装のデザインとしながら、先進技術がもたらすダイナミック・パフォーマンス、そして心を震わせるサウンドで「フェアレディZ」の魅力を提供するという。
発表されたフェアレディZの搭載エンジンはひとつ。そのなかで価格は、もっともベーシックでリーズナブルな「フェアレディZ」が6MT/9ATともに、同一の524.15万円。ハイスペックの「フェアレディZ Proto Spec」も6MT/9ATを問わず696.63万円だ。この価格設定が安いのか妥当なのか?ユーザーの判断に委ねるしかないが、直接の競合車と思えるトヨタ・スープラSZが499.5万円、直列6気筒のRZが731.3万円である。ちなみに、独ポルシェ製ミッドシップスポーツの718 ケイマンは729.0万円から購入できる。
フェアレディZが搭載する新開発3リッターV型6気筒VR30DDTT型ツインターボエンジンは、最高出力が298kW(405ps)、最大トルクが475Nm(48.4kg.m)と出力&トルクを大幅に向上させながら、シャープでスムーズなレスポンスを実現した。
組み合わせるトランスミッションは2種。6速マニュアル(6MT)はV6ターボエンジンの大トルクに対応するため、クラッチディスクとギヤトレインを強化した。また、新設計のシンクロシステムの採用やシフトプロファイルの変更で、ドライバーの意のままのスムーズなシフトチェンジを可能とする。
一方、新開発の9速オートマチック(9AT)は、幅広いギアレンジによりダイレクトで素早いレスポンスを実現。ドライブモードの選択は普段使いや高速道路でのロングドライブに最適なSTANDARDモードと、ワインディングロードなどでアグレッシブな走行が愉しめ、ポテンシャルを追求したSPORTモードの2種から選択可能だ。
加えてSPORTモードは、エンジン、トランスミッションのレスポンスを高め、ステアリング反力やVDC制御を最適化する。日産の後輪駆動車として初めて、停止状態から加速性能のポテンシャルを最大限発揮する自動制御技術ローンチコントロールを搭載し、加速性能を向上させたのもニュースだ。
「Z」らしい走り、シャープな回頭性を実現するため、フロントボディ周辺とリヤクロスメンバーを重点的に強化し十分なねじり剛性を確保。さらに、直進性を高め、修正舵を低減するフロントハイキャスターサスペンションと、路面との接地性が向上する高応答モノチューブダンパー、新開発のタイヤを採用している。さらに、バックドアとその周辺の剛性を高めることで振動音を低減し、走行時の快適性を向上させた。
エクステリアは伝統的な後輪駆動のスポーツカー、「Zデザイン」を踏襲し、ロングノーズ・ショートデッキなど、初代「フェアレディZ(S30型)」をはじめとする歴代「フェアレディZ」へのオマージュを込めたシルエットに仕上げた。
LEDヘッドランプのデザインは、初代「フェアレディZ S30型」を彷彿とさせ、新型「フェアレディZ」のアイデンティティと調和している。また、リヤコンビネーションランプは、Z32型を連想させるデザインに最先端の技術を取り入れ、新たに3DシグネチャーLEDを採用、「Z」らしさを表現した。
新型「Z」のセンタークラスターは、初代「S30型」の3連サブメーターとエアコン吹き出し口、コントロールスイッチ類を積み上げた操作性に優れたデザインを再構築した。また、インストルメントパネル上の3連サブメーター(ブースト計、ターボ回転計、電圧計)は、歴代「フェアレディZ」同様の電圧計と走行中ターボの状態を把握できる2つのメーターを配置。ヘリテージを感じさせるデザインとした。
新設計のMTシフトノブは握りやすさと操作性を追求した。深いスポークを採用したステアリングホイールは伝統的な美しさを表現し、素早い操作に適応したデザインを施した。さらにチルト・テレスコピック機構を採用し、体型によらず最適なドライビングポジションが得られる。
シートはNISMOの開発ノウハウを活かし、ホールド性とフィット感を向上させたスポーツシートだ。シートバックにスエードを採用、身体の横ブレを抑えて快適なドライブを実現,同時にコーナリング時の身体の動きを抑制する。
ボディカラーは、モノトーン3色と、新色のセイランブルーとイカズチイエローを含む2トーン6色(いずれもスーパーブラックルーフ)の、合計9色を用意。インテリアカラーはブラックとレッドの2色を用意した。(編集担当:吉田恒)