北電「泊原発・運転差し止め」命じる 札幌地裁

2022年06月02日 06:20

 北海道泊村にある北海道電力泊原発の安全性を巡り、北海道の住民ら約1200人が廃炉や運転差し止めを求めた集団訴訟で札幌地裁(谷口哲也裁判長)は31日、廃炉の訴えを棄却する一方、安全性が確保されていないとして1号機~3号機のすべての運転の差し止めを命じる判決を下した。

 判決では津波対策での防潮堤に関し、原告側が液状化のおそれがあり、現在の防潮堤は役に立たないと主張したのに対し、被告側が液状化のおそれはないと主張し、新たな防潮堤を建設するとしたが、地裁は「地盤の液状化などのおそれがないことについて、被告(北海道電力)は相当な資料による裏付けでの説明をしていない」と指摘し「津波に対する安全性を欠いており、周辺住民の生命、身体人格権を侵害するおそれがある」とした。

 北海道電力は判決に対し「当社は2011年11月に札幌地裁に提訴されて以降、裁判所のご理解を得られるよう、泊発電所の安全性等について最新の知見を踏まえながら、科学的・技術的観点から説明を重ねてきた」としたうえで「当社の主張をご理解いただけず誠に遺憾であり、到底承服できないことから、速やかに控訴に係る手続きを行います」と控訴するコメントを発表した。

 北海道電力は地中の岩盤を基盤とする防潮堤を新設するため、今年3月から既存の防潮堤の撤去工事に入っている。新たな防潮堤が完成するまでは「水密扉により建屋入口と建屋内の重要な機器が設置されたエリアへの浸水を防止する。また、冷却が必要な燃料は全て海抜31メートル以上にある使用済燃料ピットに保管しており、万一の場合でも冷却が継続できる多様な手段を確保している」(同社HP)としている。(編集担当:森高龍二)