岸田文雄総理は31日開いた経済財政諮問会議で経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)について「今年の骨太方針は機動的なマクロ経済運営を行いつつ(1)新しい資本主義の実現に向け、計画的・重点的な投資や社会課題の解決に向けた取り組みを進めること(2)国際環境の変化に応じた外交・安全保障の強化などの戦略的な対応や防災・減災・国土強靱(じん)化の取り組みを進めること(3)経済社会をより強靱で持続可能なものにするための中長期の経済財政運営の在り方、そして、来年度予算編成において、本年の骨太方針及び昨年決定した3か年度の方針に基づき経済・財政一体改革を着実に推進することなど『岸田内閣の経済財政運営と改革の全体像を明快に示すもの』とする」と述べた。
政府は与党と調整のうえ、骨太方針の今月上旬の決定を目指すとしている。岸田総理は会議で「我々が直面する様々な社会課題について官か民かではなく、官と民が協力して解決に取り組む枠組みが必要」とし「新しい資本主義はそのための枠組みであり、官と民が協力して、課題解決に向けた投資と改革を大胆に実行することで、社会課題の解決と経済成長を同時に達成し、成長と分配の好循環を実現していく」と強調。日本経済団体連合会との両輪で動いていく姿勢がこれまで以上に色濃くなっている。
骨太方針原案では「人への投資」について「24年度までの3年間に、一般の方から募集したアイデアを踏まえた、4000億円規模の予算を投入する施策パッケージを講じ、働く人が自らの意思でスキルアップし、デジタルなど成長分野へ移動できるよう強力に支援する」としている。
また「企業統治改革を進め、人的投資が企業の持続的な価値創造の基盤である点について株主との共通の理解を作り、今年中に非財務情報の開示ルールを策定するとともに、四半期開示の見直しを行う」。
「男女の賃金格差の是正に向けて、企業の開示ルールの見直しにも取り組む。政府からの特に大規模な支援を受ける際には人的資本投資などを通じ中長期的な価値創造にコミットすることを企業に求める」としている。
このほか「労働移動の円滑化も視野に労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成を促進する観点から副業・兼業を推進するほか、選択的週休3日制度については子育て、介護等での活用、地方兼業での活用が考えられることから企業における導入、普及を図る」としている。(編集担当:森高龍二)