岸田文雄総理は13日開いた経済財政諮問会議で社会保障に関して「ウィズコロナで経済社会活動をしっかりと継続できる万全の体制を整備するとともに、人への投資を支える制度改革を進める」考えを強調。
岸田総理は「年齢、性別、正規・非正規といった働き方にかかわらず、能力開発やセーフティネットを利用でき、一人一人が持つ潜在力を十分発揮できる環境整備を進める。制度によって働き方が変わるのではなく、働き方の変化に応じて社会保障制度を見直していく」と述べた。
諮問会議の十倉雅和、新浪剛史氏ら有識者議員4人は全世代型社会保障の構築に関して「25年に全ての団塊世代が後期高齢者となる。20年後の42年には65歳以上の高齢者数が最多となり、高齢化率は36%を超える」とし「少子高齢化が加速する中、多くの高齢者が支え手に回るとともに、若者・女性の活躍を支援することが不可欠だ」と提起した。
具体的には(1)年金・医療・介護、少子化対策に加え、予防・健康づくり政策、雇用政策や住宅政策、更には財政負担を軽減する共助の強化を一体として検討・改革すべき。併せて、給付と負担の在り方を見直し、現役世代の社会保険料負担の増加を抑制するとともに、将来世代に負担を先送ることのないようにすべき、とした。
また(2)今後、地方圏での急速な人口減による担い手確保の問題、大都市圏での高齢者数の増加、特に東京圏における介護需要増への対応が大きな課題となることなど、全国一律でなく、地域特性に応じた対応を講じるべき、と提言した。
後藤茂之臨時議員(厚労大臣)の提出資料によると、2019年の高齢者数は3589万人、高齢化率は28.4%になっているが、40年には3921万人、35.3%と3人に1人が高齢者になる。平均世帯人数は2.33人からさらに減り2.08人になる。就業者数も6724万人から700万人から最大1500万人減少すると推計している。
このため、働き手の確保、予防・健康づくり、一人暮らしの生活支援や孤独・孤立対策への地域づくり、効率的な医療・介護の提供、給付と負担のバランス、少子化・子育て支援などが今後、さらに大きな課題になっていくと提言した。(編集担当:森高龍二)