21年度決算で泣いた業界、笑った業界。過去最高売上高を記録した企業も

2022年06月26日 10:13

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21年度決算でも、業種や企業によって業績に大きな格差が生じている。業績が悪化した業種や企業が多数ある中、史上最高利益を更新した業種や企業も少なからず見受けられる

3年振りに行動制限のないゴールデンウィークを終えたが、懸念されていたほどの大きな感染拡大は現在のところ発生しておらず、ようやく明るい兆しが見え始めてきたのではないだろうか。しかし、コロナ禍以外でも、世界的に続く半導体不足やロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギーや物流費の高騰、為替の円安が進んでいることなど、まだまだ不安要素も多い。

 21年度決算でも、業種や企業によって業績に大きな格差が生じている。業績が悪化した業種や企業が多数ある中、史上最高利益を更新した業種や企業も少なからず見受けられる。

 大きな痛手を負っているのはやはり、宿泊業や観光関連業だ。政府はこれを救済すべく、新たな観光需要喚起策として、旅行代金の割引と地域クーポンを付与する「県民割」の対象を全国に拡大した全国旅行支援を打ち出しており、6月の新型コロナ感染状況を見極めた上で、7月前半から制度を変更すると発表している。賛否はあるものの、新型コロナ感染が鎮静化している今、少しでも業績悪化に歯止めがかかることを期待したいものだ。

 一方、コロナ禍でも需要を伸ばしているのが住宅業界だ。住宅メーカー大手の大和ハウスが発表した3月度の月次業績は前年同月比108%、同じく住友林業も同103%、セキスイハイムも同103%、ミサワホームにいたっては、前年同月比109%となっている。

 そんな住宅業界の中でも飛び抜けて業績を伸ばしている企業がある。木造注文住宅を手がけるアキュラホームだ。同社は2021 年度(2022年度 2月期)業績で、前期比17.1%増、過去最高の売上高となる54162 百万円を達成。年間受注棟数も2094棟で過去最高棟数を記録している。

 同社は住宅業界の中でもコロナ禍にもいち早く対応をみせた企業で、柔軟で積極的な経営体制で知られている。設計の自由度とコストパフォーマンスを両立した「超空間の家」 の展開や、住宅の燃費を表示 して1年間の光熱費シミュレーションを元に保証するという日本初の「光熱費保証制度」を実施するなど、

 消費者ニーズに寄り添ったサービスを展開したことが、功を奏しているようだ。

 また、同社では2022 年夏季賞与の平均支給額を前年同期比4.7%増で支給することも決定。支給額は20年度夏季賞与から連続で増加しているという。

 コロナ禍もさることながら、今年度で最も深刻なのが、原油高の高騰などによるエネルギーや原材料のコスト上昇だ。あらゆる国内産業の業績に少なからぬ影響を及ぼすことは間違いないだろう。でも、そんな状況の中でも迅速に、柔軟で積極的な経営を行えば、活路は見えてくるのではないだろうか。コロナ禍の収束とともに、日本経済にも明るい兆しが見えてくることを期待したい。(編集担当:今井慎太郎)