トヨタ、16世代目のクラウン、保守本流の衣を脱ぎ捨てて4車型に大胆スイッチ

2022年07月16日 09:29

Toyota 16th Crown

新型クラウン、発表会で披露した大胆に変身したクラウン 左から新しい雰囲気で始めに販売する「クロスオーバー」、エモーショナルな雰囲気でスポーティな走りが楽しめる「スポーツ」、新たなフォーマルサルーン「セダン」、大人の雰囲気で余裕のある走りを持つ機能的なSUV「エステート」

 トヨタの保守本領サルーンとも云えるクラウン「Toyota Crown」が、16世代目の新型に大胆なフルモデルチェンジを敢行した。新型クラウンについては巷間さまざまな噂が流れていた。「新型はSUVになる!」「セダンを捨てる」というような衝撃的な情報が交錯していたのだ。

 ある時期に至って、「後輪駆動プラットフォームを捨てる!」との情報が確定的に語られ出したが、7月15日に発表された16代目は確かに「FF系GA-Kプラットフォーム」とされた。つまり、FFサルーンのカムリや6月に発表された新型SUVのLEXUS RXと同じなのである。クラウンの「革新と挑戦」の思想を受け継ぎつつ、多様な価値観やライフスタイルに寄り添う、4つのバリエーションを持った新時代のフラッグシップとして刷新。

 結果として発表されたのは4車型のまったく新しいクラウンだ。登場するのは新しいスタイルの「クロスオーバー」、そしてエモーショナルな雰囲気を持ち、運転しやすいパッケージとともにスポーティな走りが楽しめる「スポーツ」、新たなフォーマルサルーンとしてショーファードリブンにも対応する「セダン」、大人の雰囲気で余裕のある走りを持つ機能的なSUV「エステート」をラインアップし、今後グローバルに約40の国・地域に順次展開していくという。

 最初に販売店に並ぶのは「クロスオーバー」だ。噂に登っていた「SUVになる……」云々という予想とはずいぶん異なった印象の先鋭的なファストバックのモデルだ。ボディサイズは全長4930mm×全幅1840mm、そして“SUV云々”の噂の元となった全高は1540mmと高い。ホイールベースは2850mmだ。このホイールベースは先代比で70mmも短い。これはFFベースだから居住空間確保が容易だったためとおもわれるが、寸法はSUVのLEXUS RXと同じである。

 ちなみにLEXUS RXのボディ寸法は新型クラウンとほとんど同一の全長×全幅×全高4890mm×1920mm×1695mm、ホイールベース2850mmである。

 パワートレーンは新しい。出力272ps/6000rpm、トルク46.9kg.m/2000-3000rpmを発揮する直列4気筒ターボに、クラッチを挟んで82.9ps/29.8kg.mのモーターがアシストし、6速ATを介して前輪を駆動。さらに80.2ps/17.2kg.mのモーターが後輪を駆動する電動式4WDだ。

 このパワートレーンの構成もLEXUS RXの500hと同じ構成だが、クラウンのシステムは、動力分割機構式が無いデュアルブーストハイブリッドである点が異なる。

 もちろん、このハイパフォーマンスパワートレーンのほかに、従来どおり2.5リッターエンジンのTHSⅡ仕様も存在するが、ことらも後輪をモーターが駆動する4WDとなる。

 つまり、新型クラウンはLEXUS RXとほぼ同時に開発が進められたようで、サスペンションの構成は、フロントがマクファーソンストラット、リアが新設計というマルチリンクというレイアウトで、RXと完全に一致する。

 加えて、新型クラウンはトヨタ自動車の米国部門が7月11日、新型『クラウン』(Toyota Crown)のフロントマスクの一部と見られるティザー画像を公開した。これは、新型クラウンが米国市場にも投入されるグローバルモデルになることを示唆しているものとみられる。

 新型クラウン・クロスオーバーの価格は、デュアルブーストハイブリッドのRS“アドバンス”グレードが640.0万円。2.5リッターハイブリッド車の“X”グレードが435.0万円。(編集担当:吉田恒)