世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会、旧世界統一教会、現・略称「家庭連合」)は17日、田中富広会長が11日に行った記者会見で「コンプライアンスを宣言した2009年以降、トラブルは起こっていない」と発言したことについて「それまでのようなトラブルがゼロになったという意味で言ったものではありません。言葉不足で誤解を招いてしまったことを率直にお詫び申し上げます」との声明を発表した。
家庭連合(旧統一教会)を巡るトラブルを巡っては12日に全国霊感商法対策弁護士連絡会が記者会見で、その後もトラブルは発生していると件数や被害額などを語っていた。その際、昨年までの過去5年に限っても弁護士や消費生活センターで相談を受けた件数は約580件、被害総額が54億円に上るとした。
声明で家庭連合は「2009年のコンプライアンス宣言以降は信徒たちのコンプライアンス遵守の結果が大きく表れているという趣旨で行ったもの」。「その点は言葉不足で、誤解を招いてしまったことを率直にお詫び申し上げます」とした。
家庭連合は「そもそもこのコンプライアンス宣言とは、過去において一部の教会員の行き過ぎた活動が違法行為とされ、それを十分指導・監督できなかった教団の使用者責任が問われたケースがいくつかあったため、教会員が法令を遵守し、公序良俗に反する行いが無いように、教団が責任をもって指導することを宣言したもの。それ以降、当法人を相手取った民事訴訟の数は着実に減少してきている」とした。
家庭連合は「過去において純粋な信仰に基づいて自主的に献金を捧げた信徒が、その後心変わりして献金の返還を求めるといったケースがあり、2009年以降もごく僅かですがそのようなケースがあるのは事実」と認めた。
そのうえで「そうしたケースについては誠意をもって対処し、解決に向けて取り組んでおり、そのように指導している。連絡会所属弁護士が中心となってまとめた日弁連の『実態調査集計結果』等は弁護士や消費生活センターに相談のあった当法人にまつわる案件全てを『被害』と断定しており集計内容は不正確で水増しされている。当法人に対して裁判を訴える側の偏った情報でしかありません」と訴えている。
旧統一教会は1954年に文鮮明(教祖)により韓国で創設された。文鮮明は安倍晋三元総理の祖父にあたる岸信介元総理と朋友と言われている。自民党などの特定政治家とのつながりが指摘されている。全国霊感商法対策弁護士連絡会は12日の会見で1990年代の時点で旧統一教会の信者が秘書として自民党国会議員を中心に三桁(100人以上)送り込まれ、秘書らは議員の知らないところで情報共有し、統一教会に報告、自分たちに有利になるように指示を受けていたとした。政治家とのつながり解明も求められている。(編集担当:森高龍二)